一週間続いたJAXAの二次審査も、残すは最終面接だけとなっていた。これまでなにかと宇宙飛行士である弟・日々人と比べられ、はた迷惑な注目を浴びていた六太も、ここぞとばかりに気合を入れる。力を尽くしてきた六太にとって、次の三次審査に進めるかどうかは、この面接次第なのだ。 なんとか最終面接を終え、六太が廊下で見たものは、歴代の宇宙飛行士たちの肖像写真パネルだった。日々人のパネルを見つけた六太は、まだ空いているその隣に手をあて、宇宙服姿でにやけ笑いをしている自分を想像する。 「弟の隣に兄がいなくてどうするんだよなぁ。――ここは、俺の場所だ!」 六太はキョロキョロあたりを見回すと、指をなめて壁に押し付けた。 「唾つけとこ」 その夜。試験を終了し、ほっと一息ついた受験者たちは、居酒屋で打ち上げをしていた。ほろ酔いになった六太もご機嫌に語り、最終面接でされた突飛な質問を振り返る。 『最近、自分のことでなにか発見したことは?』 ほかの受験者たちは真面目な回答をしていたようだが、六太の答えはまったく違っていた。 「みんなより……シャンプーがよく泡立ちます!」 一気に酔いがさめ、わざわざ面接で言うことじゃなかったと後悔する六太。そこにさらに追い打ちがかかる。憧れのせりかにアドレスを交換しようと言われたが、携帯電話を失ったままだったのだ。豪快に落ち込む六太を救ったのは、ケンジの一言。 「みんなのアドレス、メモったから」 ケンジが神様のように見えた瞬間だった。 後日。携帯電話を再購入した六太のもとに、日々