初夏の朝。颯爽とバイクを駆るのは芹沢理一(妻夫木聡)、25歳。コーヒーショップに立ち寄った理一は、いつものようにダブルトールカプチーノを手に入れ再びバイクへ。
理一が去ったコーヒーショップで、イライラと順番待ちをするのは牧野衣咲(深津絵里)、31歳。ようやく衣咲の番が来たとき、注文した品と違う、と男が割り込んできた。理一だ。理一の割り込みを注意する衣咲は、クレームに応対しようとするウェートレスにも、ズケズケと言いたい放題。そんな衣咲に、理一は見覚えがあるような気がするのだが、今ひとつ思い出せない。と、記憶を探っている理一を尻目に、衣咲は店を飛び出した。
実は衣咲は、自動車学校行きのバスを待っていたのだ。だが、理一と言い合ううちにバスが出発してしまった。察した理一は、教習所までの道を教えようとするのだが、衣咲はナンパだと思い込んで、さっさとタクシーを拾って行ってしまう。
実は理一は、衣咲が向かった先、『旭自動車学校』の教官。この日も、一坂進(温水洋一)の所内教習に出ていると、一台の教習車が追い抜いて行った。ところがすぐに、急ブレーキの音が。理一たちの車を追い抜いた教習車だ。驚いて目を向けると、運転する生徒は、先程コーヒーショップで出会った衣咲。教習を終えてロビーに戻った理一は、衣咲が名前を呼ばれるのを聞いて、ハッキリと思い出す。衣咲は8年前、理一が通っていた高校に来た教育実習生だった。
同じ日の昼休み。理一は大学時代の仲間、長谷部幸平(田中圭)の元を訪れ、昼食を取っていた。理一と幸平は、かつては共に映画監督を目指