電気工事士の澤本蓮は母親の咲子と二人で暮らしている。ある日、蓮は商店街の楽器店の娘で画家を目指す梶原美鳥と出会い、そこに置かれていたストリートピアノを見て１０年前の記憶が蘇る。
ストリートピアノ設置に反対する商店街のブティック店主・加藤雅恵のピアノ撤去の署名活動を受けて、蓮はピアノの素晴らしさを分かってもらえるよう、雅恵の娘でピアノ好きな萌と共に演奏する。
蓮は雅恵に頼まれて萌のピアノ指導を引き受ける。一方、美鳥は商店街に人を集めるべくピアノ演奏の動画配信を思いつく。そして美鳥の父親・梶原洋介は蓮の名字が澤本であることに気づく。
古沢浩二と、病気で体が動かず車椅子に乗る妻の香織、息子の太一の親子連れが商店街を訪れる。浩二がストリートピアノを弾くと無表情だった香織が一変して明るくなる。そして古沢夫妻の銀婚式パーティーを楽器店で開くことになる。
銀婚式パーティーで古沢浩二が夫妻の思い出の曲を弾くと、妻の香織の動かないはずの指に奇跡がおきる。その夜、美鳥が亡き母親の思い出を蓮に語ると、蓮は自分が母親と二人暮らしをしている事情を美鳥に告げる。
楽器店の入り口に佇みピアノを聞いている後藤麻由美。彼女はピアノ演奏の人気動画配信者であったユキのファンで、かつて仕事で挫折した時にユキの演奏に励まされたことを蓮に話す。そんな麻由美のために蓮は楽器店を貸し切り、麻由美の思い出の曲を弾く。
楽器店を訪れたピアニストの石河杏子が店主の洋介にストリートピアノを自分に売って欲しいと切願する。蓮と美鳥はピアノにまつわる杏子と杏子の娘との悲しい過去を知り困惑する。蓮は自分とピアノとのいきさつを杏子に話す。
楽器店の店主・洋介は蓮に、自分と蓮の父親との関係を打ち明け、蓮は１０年前に手放したピアノが楽器店に置かれた経緯を知る。そして蓮は、娘を事故で亡くして以来ピアノを弾く事が出来なくなってしまったピアニストの杏子に、亡き娘のためにもピアノを弾いてほしいと願う。
美鳥は、ピアノを弾く蓮の姿を自分が絵に描く過程を動画配信することを思いつく。一方、自宅に戻った蓮は１２月２５日に印がついたカレンダーを見つめる。その日は１０年前にある人と交わした大切な約束の日であった。
蓮と母親の咲子は非通知設定の男・久保田優一郎と会い、優一郎は蓮の父親の近況を語り始める。一方、美鳥はクリスマスに楽器店でピアノコンサートを開くことを提案し、蓮は自分の演奏をライブ配信して欲しいと申し出る。
クリスマスのピアノコンサート当日、楽器店を蓮の母親・咲子が訪れ、店主の洋介と久しぶりの再会を果たす。そして蓮の演奏が始まると商店街付近の道にタクシーが停まり、降りてきた男は１０年前の約束を果たすために楽器店に向かう。
商店街にあるフレンチレストランのオーナーシェフ・水崎恵太は、妻・花織の急逝を機に店を閉めて人生の目的を失う。生前、花織が店で生演奏していたピアノも処分しようと考えていたある日、亡くなったはずの花織が恵太の前に現れてピアノを弾き出す。 恵太は閉店中、花織のピアノをストリートピアノとして置き続ける事にすると、謎の青年が現れて花織がよく弾いていたショパンのノクターンを弾き出す。
恵太の店で働いていたパティシエ志望の美歩は、謎の青年に見覚えがあるけど思い出せない、と恵太に告げる。恵太は美歩にパティシエ修行のためにも他の店で働くべきだと諭すが、美歩は恵太の店の再開を一途に願う。 そんなある日、恵太が花織の遺品整理をしていると一冊の通帳が見つかり、美歩から謎の青年の事を思い出したと連絡が入る。
ピアニストの今西浩平はかつて花織のピアノ教室に通い、音大の学費の援助も花織から受けていたが、ウイーン留学後、急に連絡が取れなくなった花織の身を案じて一時帰国した、と恵太に話す。そして浩平は暫くの間ストリートピアノを演奏させてほしいと申し出る。 ある日、浩平の演奏を聞いていた男が、ショパンの英雄ポロネーズを弾けるようレッスンしてほしいと浩平に願い出る。
工務店経営者の榊は、１５年前に離婚して以来会っていない当時８歳でピアノが好きだった１人娘との約束を果たすために、ショパンの英雄ポロネーズを弾きこなせるよう、浩平のレッスンを受ける。そして、結婚する娘の式の前日に榊がピアノを弾く動画を配信すべく、恵太と美歩は準備を進める。ところが配信の前日、榊はピアノレッスンに現れなかった。
