静(吉岡里帆)は写真館を営む父の純介(笑福亭鶴瓶)と二人暮らし。純介は生まれつき聴覚障害を抱え、同じくろう者だった母は静が幼い頃に他界している。耳の聞こえる静は純介の通訳代わりを務めてきたため、相手を見つめたり、身ぶり手ぶりで話すクセがある。それを「こび」とか「ガサツ」と受け止められ、傷つくことも多い。ある日、バイト先で面識のある圭一(中島裕翔)がケバブの屋台でつるし上げられている場面に出くわす。
静(吉岡里帆)が純介(笑福亭鶴瓶)と一緒に出席したスマートシティー計画の説明会に、開発業者の一員として圭一(中島裕翔)が現れた。カタカナ交じりの説明で煙に巻こうとする業者に対し、純介は手話を静に通訳して貰いながら反対の立場を表明する。商店街の仲間からヤジが飛び交う中、いきなり圭一が子どもの頃のランドセルの思い出話を語りはじめる。ぽかんとする一同だが、静だけは圭一の言わんとすることを理解できた…。
静(吉岡里帆)は圭一(中島裕翔)と音楽会に行ったことを純介(笑福亭鶴瓶)に言えずにいた。そうとは知らず純介はさくら(木村多江)の小学校の卒業アルバム作りを楽しんでいたが、学校へのバス路線が廃止となることを知りショックを受ける。一方、静はリサイクル店で康隆(稲葉友)から開発会社の準備室が市役所に出来ることを聞かされる。反発する康隆をなだめていると店に圭一が現れ、この町へ引っ越してきたと言う。
「スマートシティ計画反対」のビラに「確認済」のハンコを押して回る圭一(中島裕翔)に純介(笑福亭鶴瓶)は怒り心頭だが、静(吉岡里帆)は圭一のために弁当を作るほど浮き足だっていた。純介は計画阻止のためけんちん祭りを盛り上げようと商店街の面々に提案、静が祭りのチラシを圭一に渡すと「参加したい」と興味を示す。と、そこへ長谷川真琴(藤井美菜)が現われ、「相変わらずね」と挑戦的な視線を静に向ける…。
静(吉岡里帆)と圭一(中島裕翔)は初めてのデートに出る。商店街から離れないデートコースにやきもきし通しの静だが、圭一が見せたいものの正体を知り、純介(笑福亭鶴瓶)に圭一との交際を打ち明ける決心をする。一方、純介はカフェに押しかけ、さくら(木村多江)に祭りの写真を見せていた。一人息子と離れ離れになった寂しさを打ち明けるさくらに同情した純介は、帰宅すると静に東京で開かれる同窓会に参加すると告げる…。
住民説明会に向かおうとする静(吉岡里帆)だが、純介(笑福亭鶴瓶)は圭一(中島裕翔)の顔を見たくないと抵抗、転んで手足をねん挫する。入院することになった純介の世話で静は説明会に出席できない。一方、圭一が示した商店街の看板を残す計画に人々の心は揺れていた。そこへ真琴(藤井美菜)が現れる。実は梅子(萩尾みどり)の親戚だったのだ。静と鉢合わせした真琴は「優しい世界」と挑発するような言葉を投げかける。
圭一(中島裕翔)から「東京に戻るときは一緒に暮らしたい」と言われた静(吉岡里帆)だが、まだ返事をできずにいた。圭一のことを話そうとすると純介(笑福亭鶴瓶)がそっぽを向くためだ。一方、圭一は海外赴任のチャンスが巡ってきたことを静に相談できずにいた。静が純介を一人にすることを心配しているのが痛いほどわかるためだ。お互いが相手を思いやり身動きできずにいると、圭一の母(宮田早苗)が野々村写真館を訪れる…。
圭一(中島裕翔)から海外赴任についてきてほしいと言われた静(吉岡里帆)が、純介(笑福亭鶴瓶)を一人にすることはできないと断りのメールを送った翌日。公園で落ち込む静のもとに圭一が現れ、パナマにはついてこなくて良いと伝える。圭一の優しさを受け止める静だが、親子ゲンカをした家には帰りたくない。と、ケバブサンドを買ってきた圭一がシャツについたシミを見せ、「早く落とさないと」と困ったようにつぶやいた…。