成瀬誠一郎(江口洋介)は、ゼネコンに勤めて20年、ガテン系一筋で生きてきたが、その会社が倒産することに。そんな折、成瀬の元に、小学校時代の恩師・武市幹城(岸部一徳)の推薦で、母校の公立小学校の民間人校長の話が舞い込んでくる。恩師のたっての願いと知り、成瀬は校長のオファーを受ける。 30年ぶりにやってきた母校・新宮小学校で成瀬はいじめを目撃。いじめっ子たちは、男児のランドセルの中身をぶちまけ、ライターで火を点けようとしていた。成瀬は、いじめっ子らを叱るが、彼らはシラを切り、男児もいじめを否定。ライターを取り上げようと女児ともみ合ううち、防犯ブザーが鳴ってしまい、成瀬は警備員に拘束されてしまう。 その頃、職員室では6年の担任で教務主任・桐原伊織(西島秀俊)、非常勤講師・武市かの子(北乃きい)、副校長・脇谷九重郎(塩見三省)ら教員たちが、新校長の到着を待っていた。解放された成瀬は、いじめのことを報告するが、教師たちは、いじめに驚くどころか、生徒の名字に「さん」をつけるように、それが本当にいじめだったのかなどと、真剣にとらえようとしない。 翌日、成瀬は体育館で着任のあいさつをしていると、子どもたちが次々に座り始めた。何事かと驚く成瀬に、5年生の担任・大橋仁(塚本高史)が、今は疲れたら座っていいことになっていると説明。子どもたちを頑張らせてはいけないと聞いた成瀬は愕然とし…。
成瀬誠一郎(江口洋介)は、外で遊ばない子どもたちを見て、日曜日に「Sケン」大会というイベントを行うことにした、と発表する。 成瀬は、「Sケン」を知らない子どもたちのため、武市かの子(北乃きい)とともに放課後に練習を始めるが、集まったのは7名だった。しかし、日を追うごとに人数は増え、やがて、放課後の校庭に子どもたちの声が響くようになる。 そんななか、成瀬は、親しげな雰囲気の谷本毅(谷山毅)と中嶋はるか(中嶋春陽)をほほえましく見る。 一方、「Sケン」の状況を静観していた桐原(西島秀俊)は、そろそろ問題が起こる頃だろう、とかの子に告げた。 そんな折、はるかは、毅に親が離婚することになったと打ち明ける。それを聞いた毅は、はるかをあるマンションの屋上へと連れていく。そこは、夕焼けが一望できる毅の秘密の場所だった。そこで、自分の気持ちを打ち明けようとした毅に、はるかがキスをした。しかし、その瞬間を、同級生2人に隠し撮りされてしまう。 翌日、その写真が5年生の間に出回り騒動となる。大橋仁(塚本高史)が事態を収拾しようとするが、PTA会長(宮田早苗)の知るところとなり、会長が毅の両親、祖父母とともに乗り込んできた。成瀬の前に陣取った会長らは、悪いのははるかと「Sケン」だとまくし立てる。さらに、毅までが、はるかに無理やりキスされた、と言う。それを聞いた成瀬は…。
成瀬誠一郎(江口洋介)は、給食時間にひとり食べようとしない5年生の上野成吾(上妻成吾)に声をかけた。しかし、成吾は食べたくないからと言って給食を食べない。成瀬は、担任の大橋仁(塚本高史)を見るが、大橋は気まずそうな顔をするだけだった。 そんななか、女子生徒が、成吾は貧乏で給食費が払えないから食べないのだ、と発言。驚いた成瀬が大橋に聞くと、成吾は数カ月も給食を食べていないことがわかった。給食費のことは自分が親と話すから、気にせずに食べろ、と成瀬は言うが、成吾はそれを拒む。 放課後、そんな成吾に、同級生の市村理矩(市川理矩)が1カ月5千円で自分と友だちになる契約をしないか、と声をかけ、ポケットから札を取り出して見せた。 一方、成瀬は職員会議を開き、成吾の問題を訴えるが、教師らの反応は冷ややかだった。桐原伊織(西島秀俊)は、家庭に給食費を督促したが払ってもらえない以上、学校では対応できないと答える。しかし、成瀬は納得せず、給食費が払えず食べられない生徒がいるなら給食をタダにする、と言い放つ。あまりに無謀な提案に、武市かの子(北乃きい)が驚いていると、成吾が来て給食費だと言って5千円を差し出した。成瀬が成吾に金のことを聞くと、成吾は小遣いだ、と嘘をつく。 その後、下宿先に戻った成瀬は、武市幹城(岸部一徳)やかの子らに、給食費の問題を解決するために全力を尽くす、と宣言し…。
成瀬誠一郎(江口洋介)は、職員会議で、区長が学校を見学することになったと発表する。桐原伊織(西島秀俊)は、参観日も授業は普段通りで構わないと言うが、脇谷九重郎(塩見三省)は、万全を期してほしい、と息巻く。 そんななか、桐原は、顔色の優れない大橋仁(塚本高史)に声をかけたが、その後、大橋は2日も無断欠勤する。武市かの子(北乃きい)らは心配するが、桐原は、大橋はもう学校には来ないだろう、と言い放つ。大橋は、受け持っている5年生の生徒から侮蔑的な扱いを受けてきたというのだ。 早速、成瀬は大橋のアパートを訪ねるが、応答がない。心配になり合いカギでドアを開けようとすると、なかから大橋がそれを阻止。隙間から大丈夫だ、と言うとドアを閉めてしまう。 同じ頃、臨時で5年生を受け持ったかの子は、すでに授業妨害に遭っていた。そんな様子を、学校に戻った成瀬は、廊下に響く騒音から感じ取った。 そして、午後からの5年生の授業を、成瀬が受け持つことに。ところが、成瀬が教壇に立っても、教室は静まり返っている。成瀬は、騒ぐなら騒げ、とあおるが、誰も騒ごうとしない。さらに、1人1人に呼びかけるが、生徒は、自分は騒いでいない、自分は注意した、と弁明するばかり。そんななか、成瀬が黒板に向き直った瞬間、原翔子(荒川ちか)がガシャンと筆箱を落とした。成瀬が振り返ると、翔子は、手が滑って、と言ってのけた。成瀬は…。
成瀬誠一郎(江口洋介)は、警察に連行された大橋仁(塚本高史)を武市家に連れてくる。武市幹城(岸部一徳)、吉村百合子(堀内敬子)は、バツが悪そうな大橋を、温かく迎えた。 一方、桐原伊織(西島秀俊)から痛烈に批判された成瀬は、桐原の言葉が頭から離れない。そんな成瀬に、武市は自分らしくやればいいと助言、成瀬もやる気を取り戻す。 そして、翌早朝。成瀬は、武市かの子(北乃きい)を起こすと、ワゴン車に乗せた。そこには、大橋と成瀬のゼネコン時代の後輩・杉山(阿南健治)がいた。成瀬は、かの子と大橋に学校を休ませ、杉山らが行う河川敷の工事を手伝わせようというのだ。成瀬は現場でかの子と大橋を降ろすと、学校へ向かう。 学校に着いた成瀬は、職員会議でかの子と大橋のことを報告。さらに、5年生に1日だけの臨時教師を頼んだことも明かした。それを聞いた桐原は疑問を投げかけるが、成瀬は、大橋のことを解決することが生徒のためになる、と言い切った。 そして、5年生の教室に、武市と百合子が現れた。驚く子どもたちに成瀬は、今日は、武市たちとおにぎりを作るのだ、と発表した。 その頃、大橋は、作業を続けながら、子どもたちのことを考えていた。すると、戻ってきた成瀬が、大橋に現場にある土のうを運ぶ勝負をしよう、と持ちかける。昼食を賭けての勝負だと聞いた大橋はぶせんとするが、成瀬は、また逃げるのか、と大橋をあおり…。
成瀬誠一郎(江口洋介)は、父親たちに学校教育に興味を持ってもらおうと、「父親参観日」の実施を思い立つ。桐原伊織(西島秀俊)は、父親のいない子どもの気持ちを考慮すべきでは、と言うが、成瀬は、そこは自分が説得する、と自信を見せる。 そんな折、成瀬は、職員室に桐原を訪ねてきた5年生の伊藤かすみ(伊藤綺夏)に参観日の話をした。すると、父親がいないかすみは、絶対に嫌だ、と怒りをあらわにする。 武市かの子(北乃きい)は、普段、聞きわけのいいかすみがあれほど嫌がるのだから、諦めるべきでは、と言うが、成瀬は譲らない。小さい頃に両親を亡くしたかの子は、独身の成瀬に父親のいない子どもの気持ちはわからない、と言い放つ。 放課後、誰もいない教室でかすみは、桐原から渡された受験校のデータを見ていた。と、そこへかの子がやってくる。朝、かすみが桐原と会話しているところに割って入ってきたかの子に、かすみは冷たく当たり、かの子は桐原のことが好きなのか、と聞く。 数日後、成瀬は校長室にかすみを呼ぶと、父親参観日を実施することで、ゆくゆくは地域の男たちが児童の父親代わりになればいいと思っている、と意図を説明した。しかし、母親が再婚を予定し、それに反発しているかすみは、父親参観日を実施するなら、その日、自分は学校を休むと宣言。それを聞いた成瀬は…。
成瀬誠一郎(江口洋介)と武市かの子(北乃きい)は、行方不明の伊藤かすみ(伊藤綺夏)の自宅を訪ねた。自宅には、母親の春江(舟木幸)と再婚相手の小林宗司(甲本雅裕)がいたが、かすみは戻っていなかった。そんなところへ、警察から電話がかかってくる。 成瀬らが駆けつけると、かすみは放火魔の逮捕に協力したとして、警察署に連れて来られていた。成瀬らは安堵するが、かすみの表情は浮かないままだった。 同じ頃、職員室にいた桐原伊織(西島秀俊)は、かすみからの非難の言葉を思い返していた。 翌朝、登校中のかすみは、放置された自転車にそっと近づくと、カゴのゴミに火をつけようとした。と、そこへ、成瀬が声をかける。成瀬はかすみと一緒に登校することにしたと言うと、早速、母親と再婚のことを話したかと聞く。かすみは答えず、自分は大丈夫だから、と言ってその場を立ち去ってしまう。 授業中、かすみの異変に気づいた大橋仁(塚本高史)は声をかけるが、受け流される。しかしその後、かすみの事情を知った大橋は、自分も成瀬のように、かすみの心の扉を叩き続けよう、と決心する。 放課後、成瀬は校門でかすみに声をかけ、小林が勤めるスーパーに行こうと誘うが、小林には会いたくない、と一蹴されてしまう。そこへ、本木友一(三浦翔平)がやって来て、PTA会長と児童の母親が父親参観日にクレームをつけに来校していると聞き、成瀬は学校に戻る。
教育委員会の方針で、新宮小学校が廃校になるかもしれない、と聞いた成瀬誠一郎(江口洋介)は、何としても学校を守ろうと心に誓う。そして、ともに話を聞いた脇谷九重郎(塩見三省)に、この件を内密にするよう念押しする。 学校へ戻った成瀬は、校庭で体育の授業をやっていた5年生を見る。と、スタートを切ろうとしていた原翔子(荒川ちか)が突然、その場にしゃがみ込んでしまう。大橋仁(塚本高史)が駆け寄ると、翔子は過呼吸を起こしていた。 保健室に運ばれた翔子は落ち着きを取り戻すが、岡本幸恵(市川実和子)は、その様子から翔子がいじめなど、過度のストレスにさらされているのではないか、と言う。その後、職員会議で翔子が何かに怯えているようだったと報告すると、桐原伊織(西島秀俊)は家庭内暴力(DV)の可能性を示唆。それを聞いた武市かの子(北乃きい)らは驚くが、桐原はDVを受けた児童が、いじめっこになるケースがある、と話す。 早速、成瀬は大橋と翔子の自宅を訪ねる。玄関のドアを開けたのは翔子で、両親は留守にしているという。成瀬が家に上がり込もうとすると、翔子がそれを止め「不法侵入だ」と大声をあげた。すると、兄のアキラ(竹内寿)が出てきた。アキラは、翔子の学校の校長先生だという成瀬に、礼儀正しくあいさつを返した。結局、成瀬と大橋は家に上げてもらえず、引きあげることに。その様子を、2階からアキラが見ていて…。
「学校を潰す」との成瀬誠一郎(江口洋介)の宣言に、新宮小学校は揺れ動いていた。 原翔子(荒川ちか)の前で倒れた武市幹城(岸部一徳)は、翔子が呼んだ救急車で病院に搬送された。知らせを受けた成瀬、武市かの子(北乃きい)、吉村百合子(堀内敬子)は病院に駆けつけ、主治医(山本圭)から病状を聞く。 予断を許さない状況であるものの、幹城は気丈で、廃校問題で悩む成瀬に、教師は子どもに裏切られるのも仕事だ、あきらめずに向かい続けろ、と助言する。 病院を出た成瀬は、翔子の自宅に向かう。幹城に、翔子が兄のアキラ(竹内寿)から暴行を受けているらしい、と聞いたからだ。呼び鈴を鳴らすと、翔子がドアを開けた。成瀬は、翔子に武市家へ来るよう言うが、アキラが出てきて誘拐罪で訴えると反発。しかし、成瀬は抱えるようにして、翔子を外へ連れ出した。 成瀬は翔子に夕飯を作ってやるが、翔子は反抗的な態度を崩さない。それでも成瀬は、本当にこのままでいいのか、と訴え続ける。 翌朝、翔子が教室に入ると、一瞬にして空気が凍りついた。自分を静観するクラスメートに翔子は、自分をいじめないのか、と挑発。しかし、児童たちは成瀬に言われたことをきっかけに、いじめは止めたと告げた。それでもおどけた態度で挑発する翔子に、児童たちは次々と翔子が嫌いだ、と言いはじめた。ショックを受けた翔子は教室を出て行く。それを見ていた成瀬は…。