浅利の店は、江戸時代から300年以上続く老舗のこうじ屋。今も代々伝わってきた手仕込みの伝統を守り続けている。しかし、浅利はその伝統をただ守っているわけではい。肉も魚も簡単においしくできるという“塩こうじ”を使ったレシピを1000以上考案。その魅力を伝えようと定期的に料理の講習会を開催する。今年はなんと、ニューヨークにまで出向き、その良さを伝える活動を行った。 こうじは、みそやしょうゆ、みりんや甘酒を造る原料として日本の食文化に欠かせないもの。その歴史は1000年を超える。しかし家庭でみそや甘酒がほとんど造らなれなくなった今、各地のこうじ屋は次々と廃業に追い込まれている。浅利の店もかつては赤字続きで、さまざまな副業をしながら生計を立てていた。“時代遅れ”のこうじに未来はあるのか・・・。追い込まれた浅利がもう一度こうじに向き合おうと専門書を読みあさりたどりついたのが、庶民の食生活を記した江戸時代の書物だった。そこに記されていた「塩こうじ」をアレンジし売り出したところ、一大ブームとなったのだ。「宝は、足もとにあった」浅利はいま、そう感じている。