貴子の危機を救った瑞穂。だがその拍子に、彼が男であることが貴子にバレてしま う。その一件から、2人はずっと重い表情のままだった。一方の瑞穂は貴子を騙し ていたことへの罪悪感。もう一方の貴子は、今まで女性と思っていて、なおかつ密 かに思いを寄せていた瑞穂が、男だと判明したことへの戸惑いとショック。瑞穂に 騙されていた間、自分へ向けられた彼の笑顔もすべて偽りのもののように思えてく る。 そんな貴子だが、瑞穂が男であることはまだ他の生徒たちに知らせていなかっ た。生徒たちが知るのは「お姉さまが貴子の危機を救った」という功績のみ。それ は、瑞穂が何度謝ろうとしても相手をしなかった貴子が、本当は彼を気遣っていた ことの表れだった。瑞穂はそのことをまりやの言葉から気付かされ、いっそう罪悪 感を募らせるが、その一方で貴子に自分の意志を伝えることを決意。その意志と は、今までのけじめとしてダンスパーティーで男性パートを務め、その後に自分は 学院を去りたいというものだった。だが、それを伝えられた貴子は、彼に対し言葉 をかけることができなかった。本心では、自分が思いを寄せた瑞穂には学院に残っ ていてほしい。しかし生徒会長としての立場上、重大な事実を隠し通すことは許さ れない。その板ばさみで苦しむ貴子を置いて、時は無情にも過ぎ去り、ついにダン スパーティー当日となった。 当日、瑞穂は奏や由佳里、そして一子たちとともに会場となる体育館へと向か う。「お姉さまと踊れる」という期待感で笑顔のほころぶ奏たちに連れられなが ら、ひとりさまざまな思いを巡らせる瑞