舞台は大阪。 通天閣近くの薄汚れた雑居ビルに稽古場を置く小劇団『ENGINE』(エンジン)。 看板女優の山口麻依(生駒里奈)をはじめ若い劇団員たちは東京公演を間近に控え、寝る間も惜しんで稽古に励んでいた。 今回挑んでいる作品は、劇団の代表作『DICE』(ダイス)。 10年前に初演を行い、今作で初の東京進出を果たした劇団にとって想い出深い作品。それゆえ座長・重森(橋本じゅん)の気合いは普段以上で、劇団員たちの芝居の出来に納得がいかず不満を募らせていた。 そんな時…麻依は劇団事務所の資料庫で『DICE』と書かれた1本のVHSビデオテープを発見する。 そこには10年前の初演時の稽古風景が収められていたのだが…。 その映像を見た途端、麻依達の周囲では不可解な怪奇現象が起こりはじめる…。
10年前の公演を記録したビデオテープ。それを見た途端…。 稽古場は原因不明の停電に見舞われ、誰もいないはずのトイレからは大量の黒い水が噴き出し、不気味な女性の“黒い手”が麻依(生駒里奈)に迫る…。 誰かのイタズラか?それとも心霊現象か? 翌日。落ち着きを取り戻した麻依たちは汚れたトイレや壁の掃除を始めるが、壁や看板に付着した黒いシミはいくら拭いても落ちない。 一方その頃、演出助手の遠山(須賀健太)は、公演に向けて音源のチェックをしていた。すると、その音源から突如聞こえてくる女性の苦しそうな悲鳴。 あまりの恐ろしさに悲鳴を上げる遠山。駆けつけた麻依とその悲鳴を細かくチェックすると、その声は“ヤギヌマサキ”とつぶやいているように聞こえ…。
「主役を演じると死ぬ!呪われた劇団…」 そんな怪しげな投稿がSNS上でも拡散され始めた。劇団の売名行為になると考え、楽観視していた座長の重森(橋本じゅん)だったが、発信者のアカウントに“ヤギヌマサキ”という名前を見た途端、顔をこわばらせる。 今回挑む演目『DICE』は劇団の代表作でありながらも、10年前の初演時にヒロインを演じた柳沼沙紀が謎の死を遂げ、当時劇団員として出演していた麻依(生駒里奈)の姉・真理子も病で命を落とした、いわく因縁ある作品。 劇団ENGINE内に恨みを買っている人間がいる――。 そんな疑念が劇団員の中に漂い始めていた。 さらに麻依のことを何故か、目の敵のように挑発するエリカ(織田梨沙)は、様々な手でヒロインの座を奪おうと画策していた。 そんなある日、劇団内に広がる不安を一蹴するべく、座長の重森は劇団員たちとともにお祓いに出かける。重森曰く、ご利益がある神社ということなのだが…。そこで麻依に予想外の怪奇現象が襲い掛かる…。
お祓いの最中、いきなり何者かに取り憑かれたように激しく踊りだし、そのまま気を失ってしまった麻依(生駒里奈)。 心配そうに見守る劇団員たちだったが、その後も怪奇現象は一向に収まる気配がなく、麻依はすっかり塞ぎ込んでしまう。そんな麻依を優しく気遣うのは、劇団員の遠山(須賀健太)だった。そして麻依は遠山に、劇団ENGINEの女優として10年前の『DICE』公演に出演していた姉・真理子の死に関する秘密を打ち明ける。 一方、稽古に集中できない劇団員たちを前に、座長の重森(橋本じゅん)は「テレビに取材してもらおう!」と心霊現象を逆手にとって話題作りに踊り立つ。数日後、テレビクルーとともにやってきたのは、オカルト界の人気インフルエンサーとして知られる松原(松原タニシ)だった。地縛霊が取り憑いていると睨んだ松原は、稽古場に泊まり込んでその正体を突き止めようとするのだが…。
劇団「ENGINE」の心霊現象を突き止めるべく、稽古場の女子更衣室で、泊まり込んでいたオカルト系人気インフルエンサー松原(松原タニシ)は衝撃の恐怖体験に遭遇。長い黒髪の女性を撮影した映像は、動画サイトに投稿されるとみるみる話題になり、劇団の認知度はうなぎ登り。東京公演のチケットは即完売状態に。座長の重森(橋本じゅん)たち劇団上層部は喜びを隠せない。 その一方、麻依(生駒里奈)は、しだいに幻聴に悩まされるようになっていく。10年前の公演について調べていた遠山(須賀健太)は、麻依と同じ役を演じ、不慮の死を遂げた柳沼沙紀も、公演前に耳が聞こえなくなった事実を突き止めるのだが…。 重森(橋本じゅん)は、怪奇現象を止めるために、謎の修験者・鐘尾摩久須(市川九團次)の力を借りようとするが、麻依を襲う謎の幻聴は日に日にひどくなる一方だった。舞台本番に支障をきたすと判断した重森は、麻依の代役としてエリカ(織田梨沙)を抜擢する。呆然と立ち尽くす麻依。 そして彼女の目の前には、晴れやかな笑顔のエリカの姿があった…。
いよいよ間近に迫った舞台『DICE』東京公演を前に劇団ENGINEは、大阪の稽古場を出発し東京の劇場『ザ・ピット』へと小屋入りした。本番を迎えるステージを前にして気持ちを高ぶらせる遠山(須賀健太)、ひとみ(村瀬紗英)、有坂(窪塚愛流)たち。しかし、東京に来てもなお麻依(生駒里奈)だけは鐘を叩く音のような幻聴に悩まされ続けていた。その幻聴はどんどんひどくなり、やがて、劇場内で黒い女性の姿を目撃する。麻依はその女性に導かれるように、ひとり音響室へ…。 劇団員たちは荷物の搬入作業を進めていた。衣装などの荷物の中には、修験者の鐘尾磨久須(市川九團次)から魔除けとして渡されていた護符が入った箱も持ち込まれていた。だが、その護符の入った箱からは“黒い水”が染み出して、やがて劇場の壁に不気味な黒いシミが広がり始めるのだった。 そんな中、ステージの天井に設置されていた照明が落下する事故が起きる!さらに、その落下事故でケガを負った有坂は病院へと運ばれる事態に…! 後を絶つことのない怪奇現象は『DICE』の呪いか、それとも劇場の祟りか。そんな不安が広がる中、劇団員たちからは東京公演の中止の声も上がり始める。
公演中止の判断が迫られる中、重森(橋本じゅん)の元へ、麻依(生駒里奈)母・恵子(伊藤かずえ)が突然訪ねてきた。恵子は10年前、自らの病をおして演劇活動に励んだ挙句、病で亡くなった麻依の姉・真理子の死をひどく後悔しており、麻依が演劇の道へ進むことに反対していた。久々に再開した重森に対して、10年前の事件について責める恵子。麻依の身を案じるあまり取り乱しながら麻依を連れ帰ろうとする。 そんな中…劇団ENGINEを訪ねるもう一人の姿が。 新聞記者を名乗る真田(伊藤祐輝)は、「“呪い”を利用してチケットを売った公演ですよね」と重森を問い詰めるが、劇場から追い返されてしまう。 重森と真田のやり取りを見ていた麻依たちは真田を呼び止め、話を聞くことに。真田の口から10年前の初演に秘められた衝撃の事実が明かされる…!
10年前に行われた『DICE』初演後に、2人の女優が亡くなっていた。 一人は、麻依(生駒里奈)の姉で主演を演じた真理子(生駒里奈・一人二役)。もう一人は、主演に抜擢されながら、突発性難聴による幻聴によって主役の座を真理子に奪われ、交通事故で死んだ柳沼沙紀(木内舞留)。…そして、沙紀の妹こそがエリカ(織田梨沙)だった! 「お姉ちゃんは、あんたの姉のせいで死んだ。主役を演じれば呪われて死ぬのよ!」。憎しみに満ちたエリカの激しい言葉に麻依は再び幻聴に襲われる。 それはまさしく10年前に沙紀が苦しんだものと同じ幻聴だった。 真理子が沙紀から主役を奪った事実を信じられない麻依は、遠山(須賀健太)とともに、重森(橋本じゅん)から10年前に何があったのか話を聞こうとするのだが、重森は言葉を濁すばかりで真実を一切語ろうとしない。 そしていよいよ公演初日が明日に迫る中…。 妙子(小曽根叶乃)は麻依に「見てほしいものがある」と10年前の『DICE』公演メイキング映像が収められたビデオカメラを渡す。そこに映されていたのは、真理子と沙紀の仲睦まじい姿だったのだが…
『DICE』開演まで残り5時間に迫る中…劇団員を次々と襲う怪奇現象! 公演は中止か、それとも…!?そんな中、突如として原因不明の停電に見舞われる劇場。そこに現れたのは黒い女性の影だった! 暗闇の中で、金縛りにあって身動きの取れない重森(橋本じゅん)に迫るのは沙紀の姿をした黒い影…。そして、麻依(生駒里奈)の背後にはもう一体の黒い女性の影が!麻依が鏡越しに見たその黒い女性の影は、不気味な笑みを浮かべる真理子の姿だった!エリカ(織田梨沙)が沙紀の姿をした黒い影に近寄り、声をかけると、二体の女性の影は姿を消すのだった。 すっかり怯えきってしまった重森は「こりゃもうアカン…」と放心状態となり、公演中止と声高に叫び出す。麻依も「呪いの元凶はお姉ちゃんかもしれない…」と激しく動揺。公演はいよいよ絶望的な状況に。 しかし、舞台の上演を決して諦めない遠山(須賀健太)は、怪奇現象に怯える重森たちに呪いの謎に迫る“ある画像”を見せるのだった。 10年前の公演後に亡くなった真理子(生駒里奈・二役)と沙紀(木内舞留)の願いとは一体何だったのか?そして『DICE』の“呪い”に秘められた真実とは…衝撃のクライマックスが訪れる…!