火付盗賊改メ長官の長谷川平蔵(中村吉右衛門)は父の墓参りのために、公儀に届けを出して京へ向かった。お供は木村忠吾(尾美としのり)ただ一人である。久しぶりに江戸を離れた平蔵は、日頃の激務から解放されてくつろいだ気分で旅を続け、無事墓参りを終えた。 ところが、帰路の途中で大変な事が起こった。平蔵は江戸には帰って来なかった。忠吾によると、平蔵は鈴鹿峠で忠吾とはぐれ、谷底に足を滑らせて命を落としたのだと言う。妻の久栄(多岐川裕美)始め、小林金弥(中村歌昇)ら部下の同心たちには信じられない。 しかし、忠吾に同行した鈴鹿の関所の役人二人が、鈴鹿山中での捜索の模様を話し、鹿も通わぬ難所で平蔵の足跡が発見され、やがて愛用していた銀のキセルも見つかったことを聞くに及んで、遺体は見つからなかったものの死んだとしか思えなくなった。 平蔵が好んだ軍鶏鍋の店、本所の五鉄には、密偵と言う立場のために、葬儀にも顔を出せない相模の彦十(江戸家猫八)、おまさ(梶芽衣子)、小房の粂八(蟹江敬三)、大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が集まって平蔵をしのんだ。 その頃大坂では、平蔵が死んだ、と言う話を聞いた凶悪な盗賊・白子屋菊右衛門(金田竜之介)が、これを機会に江戸へ乗り込んで荒らし回ろうと企んでいた。朝が来て、彦十、おまさ、粂八、五郎蔵が五鉄から外へ出ると、霧の中に深編笠の男が立っていて…。
Name | Type | Role | |
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Motomu Furuta | Writer | ||
Nobuyuki Sakai | Director |