病床に伏した独身の浪人者・太田万衛門(中丸忠雄)は、死期が迫るのを感じ取り、下女で妾のおてい(中島唱子)を枕元に呼んだ。万衛門は、自分はかつて小金井の万五郎と名乗った大泥棒で、悪事を重ねてため込んだ千両ほどの金を隠してあり、その半分をおていにやると言った。残りは行方知れずの息子に渡したいと言い、息子の消息を知る信州・上田にいる男を連れて来くるようおていに命じた。そのころ、風邪をひいた平蔵(中村吉右衛門)の役宅に、医者の辻桃庵(寺下貞信)が来ていた。診察が終わると、桃庵は患者のことだと言って、万衛門の話を始めた。それによると、死を待つばかりの万衛門の元に、試しに別の医者を連れていったところ、医者は病を癒せると言った。その申し出に飛びついた万衛門は、やがて医者の手技により回復を見せた。狂喜した万衛門は、完治させたら治療費の五十両とは別にさらに五十両を支払うと言ったという。その話を聞いた平蔵は、考え込む。
Name | Type | Role | |
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Motomu Furuta | Writer | ||
Akihiro Masuda | Director |