お伊勢からご馳走になった帰り道に清吉は、川岸でいい雰囲気で話し込んでいる銀次郎とソラを目撃してしまった。翌朝には銀次郎とソラのことが話題にのぼり、容赦の無い長屋の面々の会話が飛び交う。ソラとの接し方に戸惑い、花火の工夫どころではない清吉。そんな折、玉屋がらみのかげ富の情報を耳にした赤井は…。
突然、清吉とソラの姿が見えなくなった。さらに、かげ富の件、風来長屋の修繕の件など、事件のもみ消しに一役買っているご隠居の調査のために二人の部下を送り出す北町奉行・遠山金四郎。だが、隅のご隠居の屋敷内に忍び込んだ二人は、屋敷の外見からは想像も付かないおどろおどろしい研究施設を目の当たりにして…。
試し打ちを繰り返す清吉たち。その都度、作り上げたからくりが壊れることに、六兵衛や新座もさすがに少々閉口していた。そこへ連れ立って朝帰りした銀次郎とソラ。その姿を見た清吉は、素直にソラと接することが出来なかった。そんな中、風来長屋に鉄十が運んできた船の仕組みを見た清吉は、ある工夫を思い付き…。
「割り切れない」が口癖の駿平。そして駿平がかわいそうなおぬい。そんな駿平たちに、ご隠居が好奇心の強い少年・ナジェナジェの例え話をして聞かせる。なぜ、自分はこんなにも悩んでいるのか、その答えを探しにナジェナジェは冒険の旅に出たのだと。これを聞いたおぬいが、彼のナジェナジェ探しに駿平を連れ出して…。
掘割に町娘の死体が浮いた。血吸いの獣の犠牲者が、また出てしまった。その警戒をかいくぐるかのような犯行に、内通者がいるのではないかと言い出した眼は疑いの目を頭の臍に向ける。戸惑う膝、踝、踵たちは、どうしても疑いを拭い去ることができなかったのだ。そのために風来長屋を実地調査することにした三人は…。
すっかり仲の良さそうな清吉とソラの様子が面白くない駿平は、明神さまに出かけた。そんな駿平について行こうとするおぬいは、道すがら表通りであることに気付き遠吠えを始めてしまう。一方、大晦日恒例の掛け取りに現れたお伊勢。例年の如くもぬけの空の長屋の様子に大荒れのお伊勢が、なだめる銀次郎を蹴り付けて…。
新年早々から空の獣の対策会議をする鳥居、黒衣衆、赤井。ニッポンを守るために鳥居は、空の獣を異国の民同様に排除しようと考えていた。自宅に帰った後、青い女の体調が優れないことを気にかけながらも、風来長屋を探りに出かける赤井。一方、新座、三太、六兵衛たちは新たな空とぶカラクリを試そうとしていたが…。
正月明け、しびれを切らした赤井は、単独で清吉を捕らえる決意をして風来長屋に乗り込んだ。だが、長屋に居候を決め込んだ遊び人の金さんによって、赤井は逆にやり込められ、そこから追い出されてしまう。一方、作業小屋の清吉のもとへ青い女が訪ねてくる。お客と勘違いした清吉が、青い女の相手をしていると、そこへ…。
白い獣が風来長屋に現れた。さすがの長屋の面々も顔面蒼白になるが、白い獣はその場から逃げ出すかのように見えた。居合わせた赤井と黒衣衆が、その後を追う。そして、町中で青い獣を追っていた銀次郎と鉢合わせする白い獣。その場に黒衣衆が駆けつけ、清吉たちも追ってきた。そんな中、銀次郎と対峙した白い獣は…。
ソラが鳥居に囚われてしまった。千代田の城こと江戸城には家康が作らせたと言われている地下の抜け穴があり、そこに閉じ込められたのだ。大胆不敵にもソラの救出作戦を立てた清吉たちだったが、お上に目を付けられた風来長屋に戻れない。だが、その準備の場所として鍵屋の工場を使いなさいと、おりくが申し入れてきて…。
脱出しようとする清吉の背中を短銃で撃った赤井は、さらにソラに向かって発砲しようとした。その時、かろうじて、清吉は赤井の腕にしがみついた。その小袖の内側には、風来長屋の女性陣の手により一文銭がビッシリと縫い込まれていたのだ。清吉のしぶとさに半ばあきれながらも、赤井は自らの境遇を自嘲するが…。
巨大龍星の上で、銀次郎と赤井が対峙していた。切りつける赤井に、よける銀次郎。しかし、青い女のためだけに生きようとする赤井の気迫に、迷いのある銀次郎は気圧されていく。「自分の心の鍵は開けられないのか」と銀次郎の動揺を誘った赤井は、ついに銀次郎に深手を負わせるのだった…。
血抜き殺しの一件が一応解決した江戸の町。幕府より月まで届く花火作りが認められたため、風来長屋を処払いになって近所に引っ越した清吉と駿平たちは大いに張り切っていた。その花火の制作現場となった石川島では、作業棟に燃料調合棟、設計棟が立ち並ぶ。そして、そばには芝居小屋もあった。実は、その芝居小屋は…。
源蔵が算盤を弾いていた。これまで無駄にした時間、月まで届く花火作りに携わる人数、その他諸々を勘案した源蔵の結論は、月まで届く花火を完成させるには八十二年と三ヶ月かかるというものだった。これを短縮するには人手を増やすしかない。そこで清吉とソラが出した結論は、お伊勢から必要なお金を借りることだった。
江戸の町から銀次郎の姿が消えて、暫く経つ。石川島で月まで届く花火の雄姿を見たお伊勢は、もう一介の損料屋が手を出せない規模になったと、嘆息していた。そこへお伊勢に盗賊団を調査してくれと遠山が持ちかける。それは、花火打ち上げのための火薬を集める中、京大坂を中心に火薬狙いの盗賊団が現れているらしく…。
銀次郎が動き出したことを知った赤井は、その身を起こした。自身のすべてを捧げて愛した青い女の死の先に、赤井は何を見るのか…。一方、白々しくソラを探す清吉を見かねた駿平は、ソラに本心を伝えるように清吉へ促すのだった。
鍵屋が江戸で一番の花火屋だという証を立てるためにおりくが作り上げたのは、異国船を打ち払うための大砲だった。大きな花火の打上げだと噂を聞きつけた、近在の者が集まってくる。鳥居、水野、遠山、それぞれの思惑は交錯し、巡りつく先は…。
水野屋敷で青い獣と対峙する赤井。愛する女を殺された怒りをぶつけ、青い獣を押し込んでいく。一方、石川島の清吉たちは、打ち上げの時が刻一刻と迫る中、土壇場の設計直しに取りかかろうとしていた…。