見目麗しき公爵令嬢のスカーレットは、婚約者である第二王子カイルから理不尽な婚約破棄を言い渡されてしまう。新たな婚約者も登場し、散々な濡れ衣を着せられ“悪役令嬢”と罵られるスカーレット。しかし彼女は、ただ断罪されるだけの悪役令嬢ではなかった。「私の最後のお願いです。このクソアマをブッ飛ばしてもよろしいですか?」――彼女は“拳”を握り、目の前の腹立たしい悪徳貴族たちに立ち向かう。
悪徳貴族たちを拳ひとつで制裁したスカーレット。事件後、彼女は第一王子のジュリアスから事の顛末を聞く。今回の騒動により、第二王子派の貴族たちが一斉に取り締まられ、黒幕が宰相のゴドウィンであることが明らかになったそうだ。そして時を同じくして、スカーレットの元にメイドに扮した暗殺者が迫る。「ムカついた方を殴る。これは淑女の嗜みですわ」――暗殺を指示した黒幕を殴るため、スカーレットは王都へ向かう。
黒幕のゴドウィンに会うため、奴隷オークションへの潜入を企てるスカーレットたち。スカーレットは奴隷商と交渉し、ナナカを奴隷として引き渡すことを条件としてオークションへの参加を許可される。いつもは“拳”で解決する彼女も、今回は話し合いで解決……と思いきや、乱暴に扱われるナナカを見て、彼女はやはり“拳”を握る。「では、遠慮なくブッ飛ばせます」――その一方で、ゴドウィンも怪しげな動きを見せ始めていた。
ついに奴隷オークション当日。レオナルドや王宮騎士団も参戦し、会場は緊張に包まれていた。無用な暴力を振るわないことを条件に潜入を許可されたスカーレットだったが、貴族たちの醜悪な振る舞いに我慢の限界を迎える。己の拳で制裁するべく、ジュリアスと秘密の取引をしゴドウィンを追う。「悪徳貴族の方々は私のお肉。取っちゃメッ、ですよ?」――しかし、ゴドウィンを追った先で、スカーレットは新たな敵と対峙する。
ゴドウィンから"テレネッツァは異世界から転生してきた人間"だと明かされるスカーレット。しかしスカーレットは、その意味を全く理解していなかった。「そろそろ殴ってもよろしいでしょうか?」――ゴドウィンに想いのこもった"拳"を叩き込むスカーレット。しかし悪の宰相は、ボコボコにされながらも最後の力を振り絞って起死回生の一手を打つ。万事休すのスカーレット。しかしその時、彼女を身を挺して庇う影があった……。
黒幕・ゴドウィンを捕えるも、彼は獄中で不可解な死を遂げた。消えぬ不穏な気配に、スカーレットはディアナ聖教の"聖地巡礼の儀"に同行することを決める。巡礼の出発地へ向かうスカーレットたちだが、道中で対立するパルミア教の妨害を受けてしまう。立ちはだかる異端審問官を前に、"拳"を構えるスカーレット。「殴り心地が良さそうな豚野郎ですわ」――一方、聖女・ディアナはスカーレットとの再会を待ちわびていた。
聖地巡礼の出発式典で、またもパルミア教の妨害を受けたスカーレットたち。スカーレットは単身パルミア教総本部に乗り込んで"拳"を振るい、騒動を鎮める。しかし、騒動の直後から聖女・ディアナの様子がおかしい。妨害の不安によるものかと思いきや、ディアナはある人物への恋心に悶えていたのだった。「大丈夫。私にいい考えがありますわ」――立ち寄った温泉地で、スカーレットは秘密の作戦を実行する。
巡礼の目的である"浄化の儀"を行うため、東の大聖石へ向かうスカーレットたち。順調に執り行われる儀式の一方で、対立するパルミア教に潜入していたシグルドから"巡礼一行に裏切り者あり"と報せが届く。次なる目的地、北の街・スノーウィンドへ辿り着いた一行を待ち受けていたのは、パリスタン王国の"真の聖女"を名乗る宿敵の女だった。「ごきげんよう、テレネッツアさん」――そして裏切り者の正体が明らかになる。
テレネッツァとの戦闘で力を使い果たし、昏睡状態となったスカーレット。一方ジュリアスは、"もう一人の裏切り者"の正体を突き止めていた。裏切りの理由を問いただそうとしたその時、パルミア教の計画が動き出す。魔物の侵攻、周辺国からの戦線布告……重大な危機に瀕したパリスタン王国。そんな中、ようやく狂犬姫が目を覚まし"拳"を振るう。「寝起きはやはりこれに限りますね」――裏切り者たちの真実が明かされる。