高木護(阿部サダヲ)は、「あけぼの文具」のお客様相談室に勤務するサラリーマン。学生時代は野球部で万年補欠の捕手だった護は、野球部同窓会でエースだった親友の笹倉純一郎(葛山信吾)と久しぶりに会う。妻との離婚後、男手ひとつで双子の子供・薫(芦田愛菜)と友樹(鈴木福)を育てていて見事な親ばかっぷりをみせる純一郎に、自分は無理だと言いながらも感心しきりの護。 翌日、護が同僚の真島孝則(小柳友)とのお客様訪問を終えて会社に戻ると、苦情客を装った純一郎から電話が入った。何かを話そうとする純一郎だったが、目の前に好意を寄せる広報部の牧村かな(滝沢沙織)を見つけ、護は話を聞かないまま電話を切ってしまう。また、護が2階を間借りしている居酒屋「クジラ」の店主・畑中陽介(世良公則)の元には、家を出ていた娘の彩(比嘉愛未)が突然戻ってきていた。 ある日、護に野球部の仲間から純一郎の訃報の電話がきた。突然のことに激しくショックを受ける護。純一郎は最期まで護とは普通に付き合っていたいと、周囲に自分が末期ガンであることを護に言わないで欲しいと口止めしていたのだ。 火葬場で親族が双子の今後について話し合っているのを偶然聞いてしまった護。話し合いの結果、家計を考えて2人バラバラに引き取られることに。生前に「ずっと一緒にいることが子供たちには幸せ」と話していた純一郎の言葉を思い出し、釈然としない護だがどうすることもできない。火葬場の帰り、薫と友樹が別々の車に乗せられていくのを護は複雑な思いで見送った。 数日後、友樹が親戚の家からいなくなったと、護に連絡が入る。泣きながら引き取られていく友樹の姿を思い出し、護が親戚の家を訪ねると薫も来ていた。2人は一緒に友樹を探すことに。同じ頃、路地を歩いていた友樹の前に一匹の犬が現れた。やがて迷子になり、泣き出した友樹に「泣くなよ」と声が聞こえ・・・。