古書店を営む神波家は子供が八人もいる大家族。 そこへ家政婦としてやってきた七瀬は家の中の異様な汚さに驚愕する。 ズボラな母親・葉子に似て掃除や洗濯がまったくできないのだ。 ただ、みんな性格は裏表なく素朴で、七瀬を和ませる。 とはいえ、このままでは不潔さに慣れてしまうかもしれない。 不安になった七瀬は一大決心をして大掃除を敢行。 見違えるようにキレイになった家を見て一家は喜ぶかと思いきや、激しく動揺しはじめた。 今まで気づかないフリをしていた不潔さを認めることになってしまったからだ。 彼らの心の声はケモノの角となって七瀬には見えていたが、彼らは自分たちの暮らしぶりを「ケダモノ」じみたものだと自覚してしまった。 七瀬は自分のしたことを後悔する。