大雨の中、逢原雨(永野芽郁)が重傷を負った朝野太陽(山田裕貴)を抱きしめ、助けを呼んでいる。するとそこに、“あの世からの案内人”を名乗る男・日下(斎藤工)が現れ、こう告げる。「君が“心を差し出す”ならば、今から奇跡を起こしてあげよう」ーーー。 2013年の長崎。高校1年生の雨は、その珍しい名前から“ザー子”と呼ばれてからかわれ、自分に自信が持てない性格から、他人とは関わらないようにして生きていた。ある雨の日、傘がなく困っていた雨に、高校3年生の太陽が赤い折りたたみ傘を差しだし、「もしよかったら、入らない?」と声をかける。たびたび自分を気にかける太陽のことを、最初は疎ましく思っていた雨だったが、明るくて真っ直ぐな太陽と接するうちに次第に心をひかれていく。しかし、2人はある約束を交わして、離ればなれになってしまう。雨はパティシエの夢を叶(かな)えるために東京へ上京、太陽は家業である花火師の修行を積む決意を固めたのだ。 それから10年後、雨は長崎に帰省していた。祖母・逢原雪乃(余貴美子)に迎えられ、東京の職場のことを話に出されると、雨はそそくさと逃げていく。一方、太陽は、大晦日(おおみそか)の花火大会を任されないことを不満に思い、父であり師匠でもある朝野陽平(遠藤憲一)と衝突していた。お互いに過去と現在への葛藤を抱く中、かつて思いを語り合った眼鏡橋で、太陽は赤い折りたたみ傘を取り出した雨の姿を見かける…。