明真に戻ってきた野口(岸部一徳)は、学長の鬼頭(夏木マリ)に「明真を医療特区にすべく、厚労省や外務省幹部と交渉しています」といきなり切り出す。中国で、ロシアの保健・社会開発省の重鎮とのパイプを得た野口は、明真を医療特区のモデル地区第一号としたい、それが成功すれば明真は外国人医師と患者で溢れることになり、これこそが真の医療の国際化であると力説するが、日本人医師と患者が減ることを懸念する鬼頭はその案を押し戻す。 そんな折、朝田(坂口憲二)と伊集院(小池徹平)は中庭のベンチで過呼吸に陥っている高瀬(渡辺いっけい)という男性を助ける。2人が心臓外科の医師だと知ると、高瀬はやおら土下座し、黒木(遠藤憲一)に自分の妻の治療をしてもらえるよう話をつないで欲しい、と懇願する。その必死の面持ちに事情を訊ねると、自分と黒木はかつて同僚であり、チームとしてお互いを信頼していたのに、教授が執刀し、患者を死なせた手術の際には全員、黒木に全責任をかぶせ、その結果、黒木は医局を追われた。自分たちチームは全員黒木を裏切ったのだ、と告白する。だが、自分の妻が重度の心臓病になり、なるべく人工心肺を使わず、カテーテル治療を希望しているため、黒木に執刀して欲しいと思い、会いに来たのだが、話すら聞いてもらえなかった、と言うのだ。無理もない、と思う一方、妻の命を救えるのは黒木しかいない、とわらにもすがる思いで朝田と伊集院に頼み込む高瀬。 同じころ、北見里香(岩橋道子)という患者が明真を訪れるが、診察にあたった黒木は、すぐに治療と手術を要する、と本人および