昭和35年の秋。布美枝(松下奈緒)と、東京に住む貸本漫画家の村井茂(向井理)との見合い話が持ち上がった。茂はまだヒット作がなく、貧しい暮らしをしていた。漫画で成功をおさめるべく仕事に全力投球したい茂は結婚への関心をもっていなかったが、郷里の境港から上京してきた父・修平(風間杜夫)と母・絹代(竹下景子)は、布美枝との見合いを強引に茂にねじ込む。
布美枝は茂との見合いを控えて、期待と不安の入り混じる思いで日々を過ごしていた。貸本漫画家という相手の職業も、東京住まいであることも、生まれ育った大塚の町を出たことのない布美枝には想像しづらかった。いっぽう、漫画が当たらずに東京で貧乏暮らしをしている茂は、見合いのための洋服の調達にも苦心するありさまだった。