この春、輪島市で生まれ育ったふたりの若者が新たな門出を迎えた。“おとう”と慕われていた妻の父親は、能登半島地震で帰らぬ人に。夫が初めて義父に対面したのは息を引き取る間際、結婚のゆるしをもらうことができなかった。「自分は結婚相手として認められる人間になっているのか」、自問を繰り返す日々。そんなあるとき、“おとう”が生前ひそかに抱いていた胸の内を知ることに。人生の節目を前に、ふたりが立てた誓いとは。