浅草界隈の年中行事である月見の季節が近づき、今年の幹事は陽介(細田よしひこ)が務めることになった。しかし、参加者は口々に要望を出し、なかなかいい場所が見つからない。困った陽介は居酒屋・まめ太のまめ奴(牧村三枝子)に相談する。そして満月堂では、親方の梅吉(國村隼)が月見で食べる饅頭の作成を竹蔵(尾美としのり)と奈津(貫地谷しほり)に命じる。売り物ではないとはいえ、本格的な和菓子作りに奈津は興奮する。
さて、そんな満月堂には珍しい客が。梅吉が京都時代に世話になった和菓子屋・虎月庵の職長・白井(西岡徳馬)だ。白井は薬の影響からか菓子の味がわからなくなってしまったという。そして自分の弟子が未だ一人前ではないこともあり、梅吉に自分の後任として虎月庵に戻って来て欲しいと懇願する。かつての恩人の唐突な要請に梅吉は戸惑う。満月堂の女将・光子(風吹ジュン)に相談するが、光子はこちらは大丈夫だから行ってあげてと言うばかり。しかもこの話が竹蔵と奈津にも伝わり、二人も動揺を隠せない。不安が渦巻くそんな満月堂にある日、虎月庵の女将・松村俊子(仁科亜季子)が訪ねてきた。俊子は梅吉を後釜に据えて身を引こうとしている白井を引き止めに来たというが…。