大手出版社に勤める文芸編集者の澤野夏美(深田恭子)。夏美は、別の出版社に勤務する夫・森下一浩(田中圭)と結婚して8年が経つが、子どもはおらず、職場では旧姓で活躍し続けていた。そんな夏美の出版社のすぐ近くにある郵便局では、局員の青年・坂上成生(片寄涼太)が窓越しにこっそりと、夏美の姿を憧れの目で見つめていた。ある夜、一浩が美大生の本宮冬子(堀未央奈)と浮気していることを夏美に告白する。同業者としてよきライバルであり、プライベートではよきパートナーの夫の裏切りにショックを受ける。心に穴が空いたような夏美が郵便局を訪れると、窓口に座っていた成生は、憧れの女性が目の前に現れたことに驚き、ある行動に出る……。
職場で携帯電話が手元にないことに気づく夏美。どこに置いてきてしまったのだろうかと不安になっていると、まさしくそのタイミングで成生が夏美に電話をかけていた。すると、たまたま自宅に立ち寄っていた一浩が落ちていた携帯電話の着信に気づき、応答してしまう。電話の相手が夫だと認識した成生は戸惑いながらも「坂上」と名乗って電話を切る。一浩は着信名が「郵便局」と登録されていたことに微かな疑問を抱く。その夜、夏美は同僚の時田仁子(大塚寧々)と小池(長田成哉)と仕事終わりに食事に。仕事の話だけでなく、お互いのプライベートな話でも盛り上がる3人だったが、偶然にも一浩と新進気鋭の作家・永山翔平(吉村界人)が同じ店に現れる。まさかの遭遇に慌てる夏美だが……。
夏美が成生のアパートを訪れていた夜、突然一浩から電話がかかってくる。着信名を見て動揺する夏美。一浩は、夏美と共通の友人とバーで飲んでいて、せがまれて渋々電話していた。成生は、なかなか応答しない夏美を訝しく感じ、携帯電話に表示された「カズ」という名前を見逃さなかった。その一浩の方が、寝てるみたいだと発信をストップさせた。翌日、夏美は永山の次回作をゲットすべく、彼と向き合い口説き始める。しかし永山は、夫の一浩への話題へと逸らしてしまう。更には夫婦論まで語り出し、なかなか本題へとは進んでくれず、結果的には口説き落とすことは出来なかった。悔しさを噛みしめていると、追い打ちをかけるように一浩からメールが届き、昨晩電話に出なかったことを問われ……。
春になり、永山の初の書籍が発売になった。書店で偶然出会った夏美と永山は、出版業界人御用達の蕎麦屋でランチをする。と、偶然にも同じ店に一浩が冬子を連れて入ってきた。三角関係の気まずい空気を感じ取る永山は、思わず次は夏美と一緒に仕事するという秘密をバラしてしまい、夏美と一浩の間に一触即発の緊張感が漂う。が、その場は大人の対応で別れる。しかし、その夜、一浩は家に帰って来て、夏美に対する怒りを炸裂させる。奪い取るなんてフェアじゃない、と。が夏美も負けていないので、議論は白熱し大喧嘩に発展してしまう……。そのことを時田に報告すると、「でも夏ちゃんたち夫婦は別れない」「恋はやがて消える」と鋭い指摘を受ける……。
一浩が冬子と別れて家に帰って来た。その自分勝手な言い分を許せない夏美は、自分にも恋人がいることを告白し、一浩から平手打ちを食らった。すぐに後悔し謝る一浩と夏美は、冷静に会話をする。が、夏美はやはり冷静に、暫くは自分が家を出るという結論を出す。今日子のマンションに同居させてもらいながら、毎日のように成生のアパートに通う生活がスタートする。それは楽しく充実した日々となっていく。時が過ぎ、夏を迎えた頃、永山の受賞パーティーで久しぶりに一浩と再会する夏美。あうんの呼吸での会話を心地よいと感じ、一浩との関係に懐かしさを抱く。一方で、成生のもとへと早く帰らなければならない、という意識も高まって来てしまっていることに気づく。時田と小池から「らしくない」と指摘されるが、自分がそうしたいと望んでいるのだ、と自分自身に言い聞かせる夏美だったが……。