警視庁の元・犯罪交渉人である野々村百合子(市原悦子)は現役を引退し海辺で一人暮らしをしている。近所に暮らす栗原祐一(宝田明)に好意を寄せられ、毎日のようにバラの花束を贈られることに少々困惑している。 話し相手は病院勤務の五十嵐敏子(濱田マリ)で、百合子の家にときどき訪ねてきてはお茶を飲みながらおしゃべりをしていく。 そんなある日、バスジャック事件が起きる。警官に拳銃を発砲しバスをハイジャックした木下賢太(金山一彦)は別れた妻・杉山京子(赤間麻里子)を連れてくるように請求するが、京子は関わりたくないと拒絶していた。事件を知った敏子から息子が事件の人質になっているので助けてほしいと頼まれた百合子は現場へ向かう。 すると、やじ馬の中にいた小寺薫(有森也実)からも夫の小寺拓(正名僕蔵)が人質になっているかもしれない、小寺は柔道経験者でバタフライナイフを所持しているはずだと聞かされる。百合子は後輩の警視庁捜査一課SIT交渉班の向井真知子(岩崎ひろみ)のアドバイザーとして交渉にあたることになるが、興奮した木下は聞く耳を持たない。そんな中、百合子が投げかけた言葉に動揺したところを小寺がナイフと体当たりでねじ伏せ、バスジャック事件は終わりを告げる。 マスコミの報道で、小寺はハイジャック犯を捕まえたヒーローとして一躍有名になるが、銃刀法違反となるナイフを所持していたことは秘密にされることに。小寺の活躍は勤務先の社長・啓子(長谷直美)も喜び、小寺に新しい店を任せるなど、これまでとは態度や待遇ががらりと変わる。その変化に薫は不安を隠せない。 一方、人質の中に息子がいるとうそをついた敏子が気になる百合子は理由を尋ねるが、はぐらかされてしまう。 ところが後日、敏子と薫が2人で会っているところを目撃してしまう。百合子は二人が知り合いだったことに驚く。 さらに真知子から拓がナイフを持っていた理由がわかったと報告を受けた百合子は、現場で出会った薫の言葉を思い出し、まだ事件は終わっていないのではないかと考える。