山村の診療所で医師を務めている華岡万里子(かたせ梨乃)は、一人娘の芽衣(尾崎千瑛)と暮らしながら村人たちの診療に携わる日々を送っている。折しも、村では村長選の真っ只中。16年間対立候補がいなかったため無投票で村長を務めてきた現職の志村仙吉(石井愃一)と、新人の升川以蔵(大高洋夫)の一騎打ちが展開されていた。以蔵はこの村に大規模な高齢者介護施設を建設し、都会から入居者を受け入れてその利益で村民の無料デイサービスを運営することを公約に掲げ、仙吉は苦戦を強いられていた。 ある日、万里子が芽衣と看護師の青田富士子(三林京子)とともに、かつて実際に「姨捨て」が行われていたという山で山菜採りに興じていると、山奥のお堂の中で倒れている老女(淡路恵子)を発見する。その女性は足を骨折しており、体には日常的に暴力を受けているのではないかと見られる打撲痕があった。誰かに虐待された挙句にお堂まで運ばれ置き去りにされたのではないかと案じた万里子は、彼女の膝関節の手術痕から身元を照会できないかと、村の駐在・栗田丸男(三波豊和)に頼む。 その結果、女性は升川酒造の升川幸代であることが判明した。長野県警の刑事・犬丸剛(渡辺哲)とともに升川酒造を訪ねた万里子は、今回の村長選に立候補している升川以蔵が幸代の長男であることを知り驚く。しかし、対応にあたった以蔵の妻・七恵(大塚良重)と弟の俊之介(湯江健幸)は、幸代は10日間の予定で湯治に行っているものと思っていたと話し、驚いた様子を見せる。 その後、以蔵と七恵が幸代のもとへ面会にやって来るが、幸代は一時的なショックのためか、話しかけられても全く反応がなく、結局、誰が幸代の足を折りお堂まで連れて来たのかはわからないままになってしまう。そんな中、以蔵の前に支援者の真田徳春(国広富之)が姿を現した。真田は「マザーエイド」という会社を経営しており、以蔵が公約に掲げている介護施設の運営を担っていた。翌日、真田の主催で大々的に介護施設建設計画の説明会が行われることになった。真田に誘われた万里子は、対立候補の志村や看護師の富士子らとともに説明会に参加する。ところが、説明会に出席する予定だった以蔵は姿を現さず、その翌日、遺体となって発見されてしまう。 やがて、升川酒造には借金があり、幸代に多額の生命保険がかけられていたことが判明するが…。