警察では、警視・久塚(國村隼)、若手刑事・織部(三浦貴大)、警部補・真野(古舘寛治)らが中心となり長峰を追う。カイジの仲間だった誠(井上瑞稀)、事件の特異性に目を付けたジャーナリストゆかり(瀧内公美)ら、さまざまな人間たちの思惑が絡み合う中、長峰から警察へ手紙が届く。怒りと悲しみに満ちたその悲痛な叫びは、長野でペンション経営に携わる和佳子(石田ゆり子)の心にも響いていた。
乏しい手掛かりをもとにカイジの行方を捜し山中をさまよう長峰の目の前に、妻も娘も存命で幸せだったころに訪れた記憶があるペンションが現われた。経営者の隆明(本田博太郎)と娘の和佳子は長峰の正体に気付かぬまま、彼を迎え入れる。久々の温かい食事に涙する長峰。しかし、世間では長峰の手紙が大きな反響を呼び、警察、メディアは次第に長峰の身近に迫ってきていた。そして、ついに和佳子が長峰の秘密に触れてしまい……。
長峰の正体を知った和佳子は意外な反応を見せた。それは、長年抱え込んでいた苦しみを長峰と分かち合えると感じたが故の覚悟の行動であった。そして、長峰を追う刑事・織部は妻(徳永えり)と娘への愛と、久塚はかつて扱った少年犯罪と、今回の事件の成り行きを重ね合わせ、それぞれに想いを巡らしていた。そのころカイジはひとりの少女(木崎ゆりあ)を連れ山中に潜んでいた。カイジもまた、孤独だったのだ。
和佳子の不自然な様子からすべてを悟る隆明。なおも長峰をかくまおうとする和佳子を説得しようとするが……。そのころ、東京では、もうひとりのカイジによる犯罪被害者の父・鮎村(松浦祐也)が、ゆかりの書いた娘に関する扇情的な記事に怒りを爆発させていた。父・泰造(堀部圭亮)との折り合いが悪く家庭内で居場所を失った誠もついにある一線を越えていく。そして、長峰と和佳子の前についにカイジが姿を現わした。
警察は誠の誘導によってカイジをおびき出す手筈を整えていた。和佳子の説得により、一度は出頭を決意した長峰だったが、カイジが新宿に現われるという密告電話を受け、再び銃を手に取る。追いすがる和佳子を振りきった長峰の目にやがて警察官に取り囲まれるカイジの姿が見えてきた。果たして、長峰の「刃」はカイジに、社会に、そして、あなたの心に届くのか。ドラマ史上屈指の衝撃的なラストが訪れる。