80年前、長崎に投下された原子爆弾。医師、永井隆は死期が迫る中、体験した原爆の惨禍と戦争の愚かさを随筆「長崎の鐘」で世に訴えようとした。しかしGHQの検閲により出版は差し止められそうになる。永井が経験したアメリカの占領下で核兵器廃絶を訴える難しさ。それは核の傘に安全保障を依存しながら、核廃絶を訴える現代日本のジレンマに通じる。戦後のベストセラーに秘められた葛藤を通して、日本人と核について考える。