「日本沈没」で知られるSF作家小松左京さんが7月に亡くなった。星新一や筒井康隆とともにSF御三家といわれ、膨大な知識と教養から未来を描く「未来学者」でもあった小松さん。戦後、高度成長期のなかで「バラ色の未来」を期待する風潮を批判し、常に科学と人間のあり方に警鐘を鳴らしてきた。死後、見つかった原稿や構想メモから浮かび上がってきたのは、世間に受け入れられず精神を病みながらも、研究分野や立場を越えて、未来を「想像」して築いていこうと格闘する姿だった。震災後のいま、日本社会が進むべき未来予想図をどう描くか、研究者や作家のなかで、小松さんたちSF作家の未来を描く「姿勢」が見直されはじめている。「人間は未来を見ることができる唯一の動物である」。小松さんが最後まで信じた“SFの力”=未来を描く「想像力」の意味を考える。