貧しい男爵家の次女・マリーはずたぼろの服をまとい、両親から召使のように扱われていた。そんなマリーはバースデーパーティで大富豪の伯爵・キュロスと出会う。互いに惹かれ合うが、キュロスは勘違いからマリーの姉・アナスタジアに求婚してしまう!しかし姉は事故死し、マリーが代わりに嫁ぐことに……!?
マリーに婚約を拒否されたキュロスは、侍従頭のミオから厳しい現実を突きつけられ、力なくうなだれていた。貴族のしがらみや社交界を嫌い、政略と打算ばかりの縁談を避け続けてきたキュロス。なぜ彼はそのような生き方をしてきたのか? マリーとの出会いは何を変えたのか?その生い立ちと境遇、マリーへの思いが明かされる。
マリーはキュロスの正式な婚約者となり、グラナド城での新生活を迎える。豪華な食事や衣服を与えられ、戸惑いながらも使用人たちに迷惑を掛けないよう頑張ろうとするが、新たにお付きとなったイルザとハンナはどこか嫌味な態度。眠れない夜、食堂でキュロスに遭遇し、互いの“好きなもの”を語り合うことに……。
マリーに最上級のもてなしがしたいキュロスと、萎縮するマリーに自身の出自を重ねるミオ。二人はマリーが過ごしやすい環境を作ろうと決意するが、翌日、男爵家からマリー宛に悪意のこもった手紙と荷物が届く。男爵家からの手紙はキュロスかミオが検分するはずだったが、イルザとハンナの差し金でマリーに直接手渡され……!?
キュロスの旧友・ルイフォンから剣術披露会に誘われたマリーとミオ。マリーは物騒な競技を恐れるが、漆黒の騎士の紳士的な振る舞いには心を動かされていた。試合後、キュロスと合流したマリーは、突然ルイフォンから“愛のない政略結婚”を厳しく咎められる。その発言に激昂したキュロスがルイフォンと剣を交えることに!!
キュロスを想うと胸が高鳴るようになったマリーは、図書館でキュロスの母・リュー・リューと鉢合わせする。リュー・リューはマリーの博識さに驚き、彼女がなぜ男爵家の領地経営に関わっていたのか訝しみながらも、優しい言葉をかけマリーの心を開いていく。一方、ミオもまたキュロスの命で男爵家を調査していて……。
マリーの弟セドリックからの手紙には、亡くなったはずのアナスタジアがシャデラン家に帰ってきたと記されていた。にわかには信じがたい内容だったが、ミオは真相を確かめるために素性を隠してマリーの実家を訪れる。シャデラン家は何を隠しているのか!? 一方、マリーはキュロスの誘いで王都へ。二人きりのデートがはじまる。
ルイフォンとの待ち合わせで、王家御用達の宝飾店にやってきたマリーとキュロス。ルイフォンのサプライズに呆れながらも、マリーはグラナド家の一員として生きる覚悟を決め、キュロスへの思いを新たにする。しかし、ようやく自身の幸せを噛みしめられるようになった矢先、アナスタジアへの負い目が湧き上がってきて……。
キュロスのもとへ連行されてきたのは、あの“事故”の日にアナスタジアが乗っていた馬車の御者ヤーコブ。何も話さないヤーコブに対し、彼と同郷のヨハンはひと芝居打って真相を聞き出そうとする。ヤーコブが語った事故の顛末は、マリーの想像を絶するものであり、キュロスもまたアナスタジアへの認識が大きく揺さぶられる。