診察室の波多野卓巳(相葉雅紀)が橘歩美(多部未華子)を呼んだ。この日、卓巳が診察する患者、櫻井菜穂(小島藤子)は2つの部位に脳動脈瘤を患っていて、ひとつが巨大なために他の医大で手術を受けたが失敗。帝都大学附属病院の脳外科からも治療を断られたため、高度先端医療センターに回されたのだ。 そのため卓巳は脳神経外科医の歩美の意見が知りたかった。卓巳が歩美に菜穂の病状を説明していると高木淳二(田辺誠一)が顔を出す。高木は困難な治療になると菜穂の受け入れに反対するが、卓巳と歩美の見解は前向き。そんな3人の前に、看護師の今井麻衣(江口のりこ)が患者を呼び入れる。 菜穂は父の雅彦(小市慢太郎)に付き添われていた。前回手術を失敗した病院を雅彦が医療ミスで訴えていると口にしたため、高木はますます菜穂の受け入れを卓巳たちに止めさせようとする。しかし、このままでは5年以内に死に至る可能性が高いとストレートに菜穂に告げる歩美は、誰も手術をしなければ自分がやると言い切ってしまう。そんな歩美の熱意に、菜穂も手術を任せたいと応えた。この言葉に卓巳もセンターは患者にとってのラストホープだと受け入れを承諾。だが、歩美は自らも医療ミスで訴えられている。また、卓巳は別の意味で櫻井父娘への懸念を抱いていた。それでも、チームはカンファレンスで菜穂の治療を検討し始める。
その日、午後の診療担当だった波多野卓巳(相葉雅紀)は荻原雪代(小池栄子)に担当を代わって欲しいと頼まれた。卓巳は、特に断る理由もないので承諾。看護師の時田真希(桜庭ななみ)たちは、この交代に好意的。卓巳の診療は1人1人に時間がかかりすぎるからだ。そんな話をしている時、真希は押していたカートから手を離してしまい、ちょうどやって来た古牧利明(小日向文世)に直撃。古牧は指を骨折してしまう。 卓巳に代わって診療にあたる雪代の前にやって来た患者は、益田浩二(吹越満)。益田は医師会役員で病院を経営する父を持つ、いわゆる2代目だが、本人は優秀な外科医。今回やって来たのは、腕の神経損傷と粉砕骨折の治療が目的。かなり複雑な怪我のため、すでにいくつかの病院で治療したのだが完治に至らなかった。再び・・・しかも一刻も早くメスを握りたいと願う益田は、高度先端医療センターに望みを託したのだ。だが、治療法を知る益田の態度は横柄。雪代は診療に高木淳二(田辺誠一)も立ち会わせたのだが、2人が整形外科の専門医でないと腹を立てる。さらに、新しい術式での再建を望む益田を、なぜか雪代は受け入れる。 早速、メンバーでのカンファレンス。その場でも雪代は、益田の治療にいつになく積極的。大嫌いな診療を自ら望んで卓巳に代わってもらい、横柄な益田を受け入れようとする雪代の脳裏には、過去のある出来事が去来していた。
波多野卓巳(相葉雅紀)が、デート中の高木淳二(田辺誠一)を病院に呼び出した。不機嫌な高木に、卓巳は患者、坂崎多恵(石田ひかり)の容態を説明する。多恵は10日前に自ら経営する建築事務所で虚血性心筋症を患い、帝都大学附属病院救命救急センターに搬送された。そこで命を取り留め心臓外科に回されたのだが、すでに左心室の心筋の7割が壊死。手の施しようがないと診断されたため、多恵はセカンドオピニオンを同病院の高度先端医療センターに求めたのだ。 高木は多恵と、付き添っている彼女の共同経営者、吉野万奈美(紺野まひる)に助かる方法がひとつだけあると告げ、古牧利明(小日向文世)を紹介する。カルテを見た古牧は、自分以外に治療出来る人間はいないと再生医療の説明を始めた。成功事例もあるが、失敗事例もあると言う古牧に、多恵はいちるの望みを託すことに。 メンバーはカンファレンスに入る。古牧は再生医療による心筋再生は可能だが、患者の容態は臨床医が考えることだと卓巳たちに突きつけた。なぜなら、再生医療に必要な細胞の培養に1カ月以上かかり、移植後に効果が現れるまでさらに1カ月、つまり心筋再生に2カ月が必要となる。その間、多恵の弱った心臓を卓巳たちがなんとか保たせなくてはならない。そこに、鳴瀬哲司(??嶋政宏)と倉本茂(菅原大吉)が現れた。鳴瀬は再生医療を行うことを了承するが、卓巳たちに治療の成功を厳命する。
波多野卓巳(相葉雅紀)が夜の医局で明日のおやつの準備をしていると、橘歩美(多部未華子)から至急、救命救急センターに来て欲しいと連絡が入る。歩美は高度先端医療センターのチーム全員に同じ連絡をしていた。卓巳たちが駆けつけると、すでに救命救急センターは患者であふれ、さらに次々に負傷者が運ばれている。歩美は高度先端医療センターの仕事がない時に救命救急センターを手伝っていたのだが、この日は雑居ビルで大規模火災が発生し、負傷者が多数発生したのだ。 治療にあたっていた卓巳は、患者の中に妊婦の山崎千佳(坂井真紀)を発見。卓巳はそばにいた荻原雪代(小池栄子)に助言を仰ぎ、千佳の症状が火災事故に巻き込まれたことだけが原因ではないとみて、詳しい検査をしてみる。すると、千佳はミラー症候群に陥っていることが判明。千佳が宿す双子の体に起きた異常が、母体に反映されてしまうのだ。 負傷者でごった返す救命救急センターの廊下で、卓巳たちのチームが緊急カンファレンス。母体を助けるためには帝王切開で出産させる必要がある。しかし、胎児たちはすでに母体の中でかなり体を弱らせていた。さらに、胎児は未成熟のため母体から出されたら死んでしまう恐れがある。胎児の発育を優先させれば、母体の命が危うい。だが、歩美は両方とも助けると断言。 その後も続々と運び込まれる火災の負傷者たち。それぞれの患者を治療しながら、卓巳たちは千佳と胎児を助ける手段を考える。
波多野卓巳(相葉雅紀)たちの高度先端医療センターに、新たな患者が訪ねて来る。その患者は、天才写真家の篠田登志雄(石黒賢)。篠田は重篤な脳腫瘍を患っていて、すでに複数の病院で治療を断念されている。脳外科を専門とする橘歩美(多部未華子)は、篠田と同じ症状の患者を担当したことがあるのだが、助かった患者はいなかった。 卓巳と歩美で、篠田を診察室に迎え入れた。診察を始めた途端、卓巳は篠田の目の異常に気づく。篠田は、右目はすでに失明し、左目もほぼ見えなくなっていると言う。また、目の治療の最中に脳腫瘍が見つかり、余命2カ月を宣告されたと卓巳たちに伝えた。余命宣告からすでにひと月が経過。脳腫瘍を治せるのかと問う篠田に、歩美は完治が厳しいと正直に答える。それでも余命を延ばす事は出来ると補足する卓巳。すると篠田も素直に納得した。だが、篠田は命よりも、目の治療を優先して欲しいと2人に依頼する。助からないのなら、もう一度写真家に戻って目の前の風景を切り取り、写真家として最期を迎えたいと…。 篠田の治療についてのカンファレンスが始まる。脳の治療を優先して延命すべきか、篠田の希望通り目の治療をするべきか。歩美は脳の手術優先を訴えるが卓巳は疑問を持つ。いつも通りけんけんごうごうの議論の中、副島雅臣(北村有起哉)が篠田の視力を回復させる手段を提案した。
高度先端医療センター、午後の診察終了間際、波多野卓巳(相葉雅紀)は自分が担当する本日最後の患者を荻原雪代(小池栄子)に診て欲しいと頼む。当然、嫌がる雪代を卓巳は半ば強引に自分の診察室に連れて行く。 そこには雪代が以前、担当していた西村杏子(谷村美月)がいた。事情を知った卓巳の計らいだが、雪代は杏子が高度先端医療センターへ来た事に不安を抱く。杏子は急性骨髄性白血病を発症し、他の病院で余命宣告をされていた。 卓巳と雪代は治療方法を相談し、臍帯(さいたい)血移植を杏子に勧める。だが、杏子は長年の辛い治療と、100%完治の見込みがないと雪代たちが正直に告げる臍帯血移植に否定的。それどころか、早く治療の苦しみから逃れたいと投げやりになっていた。卓巳は杏子にとって一番良い治療プランを考えると、励ますのだが…。 一方、入院中の坂崎多恵(石田ひかり)の心臓幹細胞の培養は順調に進み、間もなく移植可能という段階に入っていた。多恵は相変わらず仕事に熱中し、病室でも吉野万奈美(紺野まひる)にキツいダメ出しを行うため、高木淳二(田辺誠一)たちに心臓に負担がかかるとストップをかけられるほど。多恵とは対照的に、治療プランには全く興味を示さず、生きる意欲をなくす杏子。卓巳は、そんな杏子のために一計を案じる。
波多野卓巳(相葉雅紀)たち高度先端医療センターのチームが治療していた坂崎多恵(石田ひかり)が、心臓幹細胞の移植を目前に心筋梗塞に陥ってしまった。入院中の多恵をずっと見守って来た高木淳二(田辺誠一)は鬼気迫る形相で緊急手術を行う。もちろん、卓巳や橘歩美(多部未華子)たち、チーム全員の意志が多恵を助ける事に集中していた。なんとか人工心臓を取り付ける事に成功し、心拍は戻る。しかし、術後、多恵は麻酔から覚めようとしなかった。 チームは多恵の今後のケアについてカンファレンスを行うのだが、前向きな答えはなかなか見つからない。卓巳は、家族はいないと語っていた多恵の親族を捜す事にする。 チーム同様、それ以上に多恵の状態にショックを受けてしまったのが一緒に仕事をしていた吉野万奈美(紺野まひる)と、入院患者同士で親しくなった西村杏子(谷村美月)。卓巳と高木は万奈美に多恵の状態を説明するのだが、受け入れてもらえない。そんな万奈美に、高木は多恵がつけていたスターティングノートを渡す。一方、歩美は杏子が多恵を見習ってつけていた自分のスターティングノートを捨てる姿を目撃。歩美から話を聞いた荻原雪代(小池栄子)は慌てて病室へと向かうのだが、すでに杏子はいなくなっていた。
波多野卓巳(相葉雅紀)も驚くような超VIPが、特別室に入院している事が鳴瀬哲司(高嶋政宏)から知らされた。一代で世界に誇る大企業を造り上げ、経団連の理事にも名を連ねる町田恭一郎(中原丈雄)だ。町田は難治性腫瘍による膵臓がんを患っていて、各科を挙げての総力戦で治療プランを探ったが、決定打が見つかっていない。そのため、高度先端医療センターに引き継がれたのだ。 早速、卓巳たちは特別室に町田を訪ねる。町田の次男で会社経営に加わる恵介(石田卓也)が付き添っていた。町田には家族の意向でがんであることが知らされていないため、慎重に言葉を選んで検査を促す卓巳たち。町田が検査のために病室を出ると、今度は恵介に手術の難しさを説明。恵介は町田を元の健康な体に治して欲しいと卓巳たちに頼んだ。 カンファレンスでは町田の治療法を検討。有効な手段が見つからない中、卓巳の発言をきっかけに、いちるの望みが生まれた。恵介を呼んで、治療プランを説明。町田の長男、真一(要潤)も同席する。実は、恵介は町田の養子で、真一が血のつながった息子。だが、真一は町田にわだかまりを抱いているようで、卓巳たちの説明にも全く興味を示さない。結局、卓巳たちの治療プランは受け入れられた。しかし、病院側は高度医療センターではなく各科のプロフェッショナルを招集して手術することを決定。 卓巳たちの手を離れた町田の手術は成功するが、術後、町田の容態が急変。再び卓巳たちが集められ…。
波多野卓巳(相葉雅紀)たちは、術後の感染症で間質性肺炎とARDS(急性呼吸窮迫症候群)という重篤な肺疾患を患ってしまった、町田恭一郎(中原丈雄)の治療法のカンファレンスを始めた。そして、生体肺移植だけしか治療の手段がないという結論に至った。生体肺移植は患者の近親者からの臓器提供が望ましい。卓巳は恭一郎の2人の息子、真一(要潤)と恵介(石田卓也)に状況を説明して臓器提供の意志を確認。すると、恵介は二つ返事で同意するが、真一には拒否されてしまった。恭一郎には両肺を移植しなくてはならない。1人の提供者から両肺を移植するわけにはいかないので、真一の同意がなければ手術は行えない。だが、医師が移植を勧める事は出来ないため、卓巳は再び真一のもとへ向かう。 その卓巳は、自らの出生の秘密を探るうちに行き当たった斉藤健(高橋一生)の主治医となった。橘歩美(多部未華子)は行方不明となっている父親の居場所に近づこうとしている。高木淳二(田辺誠一)、荻原雪代(小池栄子)たちも、それぞれの過去や直面する医療問題の答えを得ようとしていた。
波多野卓巳(相葉雅紀)たちは、町田恭一郎(中原丈雄)への肺提供の意志を2人の息子、真一(要潤)と恵介(石田卓也)から得た。そして、生体肺移植の準備を進めるのだが、当の恭一郎に息子たちからの肺提供を拒否されてしまう。そんな時、鳴瀬哲司(高嶋政宏)が卓巳と橘歩美(多部未華子)の前で突然倒れてしまった。意識を失う寸前、鳴瀬は生体肺移植を成功させて欲しいと卓巳たちに託す。脳腫瘍の腫瘍内出血だった鳴瀬は卓巳によって直ちに処置されるのだが、重篤な状態に陥ってしまった。 恭一郎の拒否により手術を行う事も出来ず、高度先端医療センターの責任者、鳴瀬も不在。石原隆一病院長(大石吾朗)たち病院幹部は恭一郎を転院させることを考え始めた。卓巳と歩美は、真一、恵介とともに恭一郎の病室へ。2人の息子は生きて欲しいと、恭一郎に手術することを訴える。だが、恭一郎は応じようとしない。すると、卓巳が突然、家族の説得に口を挟む。いつになく、熱い口調で真一たちの覚悟を恭一郎に語る卓巳。その思いは、自らの重い宿命にも重なっていた…。 果たして、恭一郎の生体肺移植は行われるのか?鳴瀬は?そして、卓巳が背負っている宿命とは?全ての謎が明らかに!『ラストホープ』ついに完結。