NBLのプールでは、日々人がPD(パニック障害)を克服したと証明する、復帰試験が行われていた。 シャロンの励ましの言葉や、六太との約束、プリティ・ドッグの手鏡を支えに、最初は順調に水中での作業をこなし、船外服を着た状態でも平常を保っていた日々人。 このまま合格か——と思われたが、ゲイツがわざと試験を中断に追い込むようなグリーンカード(極秘指令)を出したことにより、事態は一変する。 『二酸化炭素の上昇』という警告表示に、月での遭難を思い出した日々人は、心拍数を上昇させてしまったのだ。 このままでは試験中止もありえる——、誰もが不安を過らせたその時、プールサイドに現れたのは、かつて日々人と一緒に月面に降り立った仲間、バディとカレンだった。六太から事情を聞き、日々人の手助けをしようと駆けつけてくれたのだ。 そしてさらに、日々人の頭上では、水中ゴンドラから降りてくる船外服を着た人物がいた。それは、月面で日々人が命を助けた、ダミアンだった。 「船外活動は基本的にパートナーと、二人でやるもんだ」 もっとも幸せだった時間を一緒に過ごした仲間の登場で、日々人の不安は完全に打ち消されていた。 その後も試験は続行され、日々人はダミアンと共に、バディとカレンの指示で、的確に作業を進めることができた。日々人の心拍数は少し上昇したが、それは発作を予感させるものではなく、月にいた時と同様の、軽い興奮状態に安定していた。 試験も終わりに差し掛かった頃、バックパックを背負った日々人は、ムーンジャンプと同じような姿勢で両手を広げ、高らかに水中を