相続探偵・灰江七生の事務所に、恩師で東京大学法学部教授・荻久保慎一郎が訪ねて来る。「久しぶりにワインでもどうかと思ってね」と高級ワインを手土産に持ってきた荻久保は、来て早々、灰江に「テレビをつけてくれ」と言う。 テレビでは午後のワイドショーを放送中で、先々月に亡くなった東大教育学部名誉教授・薮内晴天の隠し子疑惑を報じていた。紫綬褒章をはじめ数々の褒章を受け、児童青年教育の権威だった薮内に、死後、7人もの隠し子疑惑が浮上したのだ。週刊誌が独自に行ったDNA鑑定の結果、薮内と7人の隠し子は親子関係にあることがはっきりしたというが、薮内の妻・佐賀美さがみ(筒井真理子)は全くの事実無根で遺産目当ての狂言だと反論しているという。 すると、コメンテーターとして番組に出演中の弁護士・福士ふくし(落合モトキ)が、「民法には、『死後認知』という制度があるんです」と解説。たとえ隠し子であったとしても、裁判所でDNA鑑定などにより親子関係を証明できれば、法律上の父子関係が生じ、遺産相続の権利を得ることができるという。薮内の場合、隠し子以外に実子がいないため、5億円の遺産は、妻の佐賀美が半分、もう半分を隠し子の7人で7等分。つまり隠し子たちは1人3千5百万円も手に入れることになる……。 しかし、薮内とは家族ぐるみの付き合いだった荻久保は「薮内くんほどの愛妻家に隠し子はありえない」と疑惑を真っ向から否定。自宅をマスコミに囲まれて引きこもっている佐賀美を救うためにも、薮内の疑いを晴らしてほしいと灰江に頼む。 高級ワインも飲んでしまったし、他でもない荻久保の頼みとあって依頼を引き受けた灰江は、令子、朝永と共に隠し子7人について調べ始めるが、裏で因縁の相手・ハゲタカことフリーの週刊誌記者・羽が1枚かんでいることが分かり……。果たして疑惑の真相は!?毛田香