国際災害ボランティア・吉椿雅道が所属するNGOは、神戸にある。スタッフはたった2人、活動資金のほとんどは市民からの募金で潤沢ではない。それでもこれまで、世界34の地域でさまざまな支援を展開してきた。吉椿のモットーは「大きな支援から取りこぼされている人を救うこと。」短期的な緊急支援ではなく、中長期的な復興支援に取り組んできた。 昨年4月のネパール大地震。すぐに現地に向かった吉椿は、支援先を、山岳地域にあるグデル村とした。それは一人の出会いから始まった。ネパールの少数民族シェルパ族のラクパさん。聞けば故郷グデル村へは歩いて二日かかり、報道もされておらず支援も全く入っていないという。吉椿はラクパさんやその仲間と共に、グデル村の住宅再建プロジェクトを立ち上げた。吉椿は8月に、地元の大工を集め耐震技術を学びながら再建の構想を一緒に考えた。そこには吉椿ならではの狙いがあった。「耐震のことを知っている大工を連れていけば確かに早い。でもそれではその土地の力にならない。」今ではなく未来につなげたいという、吉椿の理念がある。