CM制作会社で働く並川幹太(伊野尾慧)となつめ(伊原六花)は、公私ともに支え合うパートナーで、誰もがうらやむ仲良し夫婦。しかし、出会って5年、結婚して3年が経ち、なつめは幹太の過剰ともいえる溺愛ぶりに、密かに不満を抱いていた。そんな妻の心の内など知るよしもない幹太は、ある日、なつめのスマホに届いた“ヤマっち”という人物からのメッセージを見てしまう。それは、自分がロケで帰りが遅くなる日に2人がホテルで会う約束をしている内容で、夫婦円満だと思っていた幹太は、なつめが不倫をしているかもしれないと大きなショックを受ける。 翌日、毎朝恒例の“いってらっしゃいのキス”を避けられた幹太は、いよいよ心穏やかではいられなくなり、なつめに事実を確かめようと決意。ところがその矢先、先に家を出たなつめが交通事故に遭い、命を落としてしまう。その夜、あまりに突然の出来事に、一人残された幹太は呆然自失。夫婦の幸せな思い出が詰まった部屋で涙を流すが、時計が11時22分を指したその瞬間、部屋が謎の光に包まれ、目の前に死んだはずのなつめが現れる。しかも、再会したなつめの話では、交通事故で死んだのは幹太だといい…。
毎日同じ時間に、なつめ(伊原六花)の生きている世界と混ざり、数分間だけ一緒に過ごすことができるようになった幹太(伊野尾慧)は、この現象を“ミックス”と名付ける。一方で、なつめがホテルで『ヤマっち』と会う日まであと3日。相手は同僚の田村(松倉海斗)か、上司の守谷(八嶋智人)か、それともゲームバーの店長・丸山(野村康太)か——。幹太は愛するなつめの不倫疑惑を払拭できないまま、モヤモヤした時間を過ごす。 その頃、幹太のいない世界を生きるなつめは、仕事で幹太が抜けた穴を埋めるべく、周囲の気遣いも不要とばかりに、気丈に振る舞っていた。ところが、会社で幹太のデスクを片付けていると、引き出しの奥に、なつめが幹太宛てに書いた大量のメモが。幹太はなつめのメモを大事に保管していたのだ。幹太との思い出がよみがえり、たまらなくなったなつめは、仕事帰りに立ち寄ったゲームバーで酔いつぶれてしまう。 その晩、なつめの世界と“ミックス”した幹太は、散乱した部屋で、酔いつぶれて寝ているなつめを見て驚く。しかも、山積みになった洗濯物の中には、なぜか男物の下着が。さらに、テーブルの上には「鍵はポストに入れておくね」というメモが残されていて、幹太は『ヤマっち』が部屋に来たことを察して…。
なつめ(伊原六花)が“ヤマっち”とホテルで会う約束をした土曜日の夜、幹太(伊野尾慧)の嫌な予感は的中し、なつめはミックスの時間になっても帰ってこなかった。幹太は相手が誰なのか分からないまま、焦りを募らせる。 その頃、なつめは実家で母・楓(南野陽子)が丹精込めて作った手料理を堪能していた。一方で、くしくも幹太から不倫を疑われたことが引き金となり、なつめは3年間の結婚生活の中で、自分が幹太に抱いた違和感=「夫婦に関する考え方のズレ」から目をそらしてきたことに気づき、この先の夫婦のあり方について思い悩む。すると、そんな複雑な心境のなつめを心配した丸山(野村康太)が、恋心を抑えきれなくなり暴走してしまう。 一方、幹太の世界では、いても立ってもいられない幹太がゲームバーを訪れ、丸山になつめとの関係を問いただそうとしていた。するとそこへ莉子(齊藤なぎさ)がやって来て、丸山いわく「なっちゃんが昔からお気に入りだった」というカクテルを注文。「昔から」という言葉が引っかかった幹太が思わず、なつめとはいつから知り合いなのかと詰め寄ると、丸山の口からは思いもよらなかった言葉が飛び出す。 そんな中、幹太の事故死について独自に捜査を進めていた、なつめの伯父で刑事の実(野添義弘)が、死の真相に近づくあるものを見つけて…。
伯父の実(野添義弘)から、幹太(伊野尾慧)をひき逃げした車が盗難車だったこと、怨恨(えんこん)による殺人の可能性があることを聞いたなつめ(伊原六花)は、自分と、もう一つの世界を生きる幹太に命の危険が迫っていることを察する。しかし、幹太にそのことを明かせば暴走しかねない。下手に犯人を刺激しないほうがいいと考えたなつめは、しばらく幹太には黙ったまま、一人で調べてみようと決める。 とはいえ、自分たち夫婦に恨みを抱く人物にまったく心当たりがないなつめは、実から捜査協力を求められ、会社の同僚たちにもやむなく事情を説明することに。守谷(八嶋智人)たちは、幹太が恨みを買っているかもしれないことに驚きを隠せない様子だったが、なつめが頼んだとおり、幹太の人間関係や仕事について、事情聴取に応じる。 一方、自分が狙われていることなど知るよしもない幹太は、なつめに言われたことを思い返し、自分がいつの間にか妻を“管理”していたことを猛省していた。そして、帰宅したマンションの前に、黒い服を着た何者かが立っていることに気づく幹太。同じ頃、なつめもまた、マンションの前で背後に誰かの気配を感じていた。おびえながらもなんとか部屋にたどり着きカギを開けると、次の瞬間、背後から黒服の人物に襲われて…。
一度は幹太(伊野尾慧)との別れを選んだものの、何者かが自分たちの命を狙っていることを知ったなつめ(伊原六花)は、お互いを救うため、もう一度幹太と手を組むことにする。さらに実(野添義弘)の話では、事故当日の朝、犯人が現場で待ち伏せしていた可能性があるといい、だとすれば、犯人は2人のその日のスケジュールを把握していたことに。なぜなら、幹太もなつめも行き先次第で二つの駅を使い分けていて、それによってY字路を左右どちらに進むかが決まるのだ。 その話を聞いた幹太は早速、守谷(八嶋智人)と田村(松倉海斗)に手伝ってもらい、事故現場で目撃情報を求めるチラシを配ることに。そこには、マンションの管理人の服部(きょん)が献花にやって来ており、その温かい心遣いに感謝する。 その晩、ゴミを出しに外へ出た幹太は、再びマンションを眺める黒服の人物を目撃。とっさに追いかけたものの、あと一歩のところで逃げられてしまった幹太は、そのことをすぐさま実に報告。しかし、なつめが亡くなった世界の実は相変わらず腰が重く、しびれを切らした幹太は“ある禁断の一手”を実行することを決意する。 一方で、黒服の人物といい実といい、二つの世界で奇妙なズレが生じていることに気づいた幹太となつめは、さらにもう一人の人物の行動に違和感を覚えて…。
“二つの世界のズレ”から犯人につながる手がかりを得た幹太(伊野尾慧)は、刑事である実(野添義弘)に頼み込んでマンションの防犯カメラの映像を入手。実は「すでに警察で調べた」というが、幹太は犯人特定の決定打を得るため、どうしても自分の目で確認したかったのだ。そんな幹太の熱意を後押しするように、CM会社の面々=“映像のプロ”である守谷(八嶋智人)や田村(松倉海斗)も捜査に参加。一同は夜通しで映像をくまなく確認する。すると朝方、根気のいる作業に疲労困憊(こんぱい)の幹太が、映像が編集されている痕跡を発見。映像を改ざんした人物=犯人の特定に成功する。幹太の世界で逮捕された犯人は、実の取調べに対し、思わぬ動機を語り始める。 一方、幹太から報告を受けたなつめ(伊原六花)はすぐに自分の世界の実に連絡し、防犯カメラの映像を再捜査してほしいと依頼。なつめの世界でも犯人が特定され、警察が犯人を逮捕しようとするが、事態を察した犯人は逃亡。最後は並川家に押し入り、なつめを人質にしようと部屋にあった包丁を手に取る。しかし、時刻はちょうど夜11時22分。部屋にはミックスで夫婦がそろっていたため、自分が殺したはずの幹太と鉢合わせた犯人はパニックになり…。
ある日、幹太(伊野尾慧)の学生時代の友人で、海外を拠点にダンサーとして活動している水沢花子(井桁弘恵)が、なつめ(伊原六花)を訪ねて会社にやって来る。まばゆいほどの美貌で、田村(松倉海斗)が「すっげー美人」と絶賛する花子は自信にあふれ、凛(りん)としたたたずまいでなつめを圧倒。幹太を「カンちゃん」と親しげに呼び、まるで恋愛ドラマのような2人の出会いを語りながら故人をしのぶ。一方、花子はなつめを亡くした幹太の前にも現れ、「私にできることがあったら何でもやる」と幹太の手を握って熱い視線を送り、その姿を見た莉子(齊藤なぎさ)は2人の関係を怪しむ。 そんな中、なつめはミックスを起動するトースターから小さな煙が上がっているに気づく。未来への不安もあり、ミックスを自分ひとりの胸に留めておけなくなったなつめは、田村に相談。早速ミックスの現場に立ち会い、亡くなったはずの幹太と再会した田村は喜びをあらわにするが、一方で、ミックスの“ある違和感”に気づく。しかしなつめは、明らかに幹太に好意を持っている花子の存在が気になり、心ここにあらず。もしもこの先ミックスが起きなくなり、幹太に会えなくなったら——。なつめは思わず、幹太が花子と生きていく未来を想像してしまう。さらに追い打ちをかけるように、幹太から花子が線香をあげに家に来たことを聞かされたなつめは、勇気を出して「(花子のことが)好きなんでしょ?」と尋ねて…。
「もしかしたら、ミックスの終わりが近づいてるのかもしれない」——。別れを予感させるような異変が起き、幹太(伊野尾慧)となつめ(伊原六花)が不安に駆られるなか、突然、なつめの父親を名乗る男・神矢吾郎(デビット伊東)が幹太を訪ねてくる。なつめが幼い頃、家族を残して家を出た吾郎は、最近になって娘の死を知り、謝罪はもとより、最後まで何もしてあげられなかったことをとても後悔しているという。その言葉を聞いた幹太は、ミックスを使って親子の再会をお膳立てすることに。 ところが、吾郎が線香をあげにきたことを知ったなつめは、何十年かぶりにひょっこり現れた父親に激怒。気まずさゆえ、酒を飲んで寝たふりをしている吾郎を見るなり辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせ、貴重な夫婦の時間をムダ使いしたと幹太にも怒りの矛先を向ける。それもそのはず、なつめの記憶にあるのは日々のストレスから酒に逃げてばかりだった父の姿で、そのうえ理由も聞かされないまま捨てられるのは、子どもにとってあまりにつらい現実だったのだ。しかし幹太は、そんななつめの言葉が本心ではないと分かっていた——。 すっかり気落ちして、そのまま部屋を後にした吾郎を追いかけた幹太は、翌日もう一度なつめと会って、ありのままの気持ちを伝えてほしいと頼む。一方なつめは、怒りこそ冷めないものの、頬をぷくーっと膨らませる自分のクセは、吾郎が由来だったことを思い出して…。
なつめ(伊原六花)の妊娠が判明した。幹太(伊野尾慧)が以前から子供を欲しがっていたこともあり、驚きと喜びがこみ上げるなつめだったが、一方で、ミックスが終わって幹太と別々の世界を生きることになるなら、幹太には妊娠の事実を伝えない方がいいのでは…と思い悩む。その頃、なつめの身に起きたことをまだ知らない幹太は、ミックスの時間が徐々に短くなっていることに気づき、危機感を募らせていた。 そんな中、幹太となつめはそれぞれの世界でオムツのCM撮影をすることに。撮影を終え、モデル役の赤ちゃんがかわいかったとうれしそうに話す幹太を前に、なつめは幹太が生きる世界でおなかの赤ちゃんを守れなかったこと、幹太にわが子を抱っこさせてあげられないかもしれないという罪悪感に押しつぶされそうになる。幹太は、そんな妻の異変に気づいていたが、まさか妊娠しているとは思いもよらず、少し具合が悪いだけだというなつめの体調を案ずる。 会社では、心ここにあらずのなつめを心配した莉子(齊藤なぎさ)が、気分転換にとなかば強引に食事会をセッティング。酔った参加者から夫婦関係をあれこれ詮索されたなつめは、張りつめていた糸が切れたように、秘めていた幹太への思いを吐露する。その言葉は迷いを吹っ切るには十分で、覚悟を決めたなつめは…。