瑞穂にとって、聖應女学院生活2日目となる朝がきた。初日にさまざまな出来事を体験した彼だが、女の子になりきって学院に通うという事態に、すぐ慣れるものでもない。多くの不安と疲れが残る瑞穂だが、そのとき長い黒髪の美少女が彼の前に姿を見せた。彼女の名は十条紫苑。息を呑むほど美しく、品格の良いその姿は、本物のお嬢様という雰囲気だ。紫苑を慕う生徒たちは数多く、瑞穂も例にもれず、自分の隣の席に座る彼女のことが気になりはじめていた。 そんな紫苑は、すでに瑞穂が男であることを見抜いていた。彼女からそのことを指摘された瑞穂は、まりや以外の生徒にバレてしまったと焦る。だが、紫苑は他の生徒には口外しないことを約束。そのおかげで瑞穂は女学院を過ごしやすくなった。違うクラスのまりやとは別に、隣の席に協力者がいるのは心強い。以前は緊張しっぱなしだったトイレも、紫苑の同行のおかげで余裕がもてるようになったのだ。 だが、その後の体育の授業のバスケで、瑞穂はつい、男としての運動神経を発揮してしまう。しおらしい女の子には困難なダンクシュートまで決めてしまい、今度こそバレたと覚悟する瑞穂。だが彼の予想に反して、周囲からは黄色い声が湧き上がった。どうやら彼のことを女の子として「かっこいい」と思ってくれたらしい。瑞穂にとっては、初日に引き続き複雑な気分だった。 それと同時に、女の子たちの噂話に聞き慣れない単語が含まれるようになった。その単語、「エルダー」は瑞穂のことを指しているらしい。まりやや由佳里、そして奏もそのことで盛り上がっている様子。噂を