新海元一(織田裕二)は、大学生のころにマグネシウム空気電池を開発し脚光を浴びた。海外企業からの出資を受け、新海エネルギー研究所を立ち上げた元一だったが、実用化までこぎつけることができないまま、以来18年間、夢を追い求めて研究を続けていた。元一の妻・紗世子(鈴木杏樹)は、5歳になるひとり息子の光太(田中奏生)を育てながらパートに出て一家の家計を支えていた。が、近ごろは家庭を顧みない元一にうんざりし、口論が絶えなかった。
あるとき元一は、研究所の元スタッフで、現在は日藤物産で営業をしている岸田史顕(八嶋智人)のつてで、石油会社の開発担当者らの前でマグネシウム空気電池のプレゼンをする機会を得る。当日、トラブルで試作品を壊してしまった元一は、アパートから家賃用の金を持ちだして代用部品を調達したものの、プレゼンは無残な結果に終わる。それを知った紗世子は、元一に怒りをぶつけ、とうとう家を出てしまう。
あくる朝、紗世子がいないことに気づいた元一は、とりあえず光太を保育園まで送り届ける。紗世子は、携帯電話に出ないばかりか、パートも辞めていた。紗世子の友人を当たろうと彼女の持ち物を調べた元一は、アパートの契約解除通知書やカードローンの催促状などを見つけ、青ざめる。
そんな折、光太を保育園まで迎えに行った元一は、かつての恋人で、岸田の同僚でもある早坂美月(長谷川京子)と偶然再会するが…。