人付き合いが下手で、偏屈な頑固おやじの正雄。優しい妻に先立たれ、何かと気遣ってくれる友人たちの誘いもむげに断る日々を送っていた。ある寒い冬の日、空腹のあまりひとり杖をついてフラフラしていた正雄と目が合ったのは「一香軒」の店主。何を思ったか嫌がる正雄を強引に担ぎ上げ、店内に運び込んだ店主は、中華を食べる気満々になっていた正雄の気持ちを華麗にスルーし、味しみしみの里芋とイカの煮物を涙ながらに提供する。