蝶子(尾野真千子)と柳吉(森山未來)は、関東煮屋(かんとだきや)を始める。小さい店だが、二人で精を出す毎日が蝶子は幸せだった。しかし、柳吉は、実家に残してきた娘・文子(青山美郷)とのことが気になる。そんなとき、妹の藤子(田畑智子)が良家の息子・桐介(大東駿介)を婿養子に迎えるという。柳吉は、荒れに荒れて再び散財し家を出ていく。
地蔵盆の夜、突如帰ってきた柳吉は、店から手切れ金をせしめるため、蝶子に嘘の別れ話を持ちかけるが、蝶子は使いに来た番頭(平田満)に柳吉とは別れないと言い切り、手切れ金も受け取らない。帰ってきた柳吉は不機嫌極まりないが、蝶子にとって精一杯の愛情表現だった。そんなとき、母のお辰(根岸季衣)が倒れ、柳吉も腎臓を患い入院。手術代も嵩み、止む無く蝶子は関東煮屋を売りに出し、再びヤトナとして働き始める。柳吉の入院先で、蝶子は、柳吉の妹・藤子と娘の文子と出会う。北新地の売れっ子芸妓だった蝶子だが、いまは見る影もない。髪はほつれ、着ているものも貧乏滲みていた。不憫な蝶子の様子に藤子は、「姐さんの苦労は、お父さんもこの頃よう知ったはりまっせ」と思わず出た慰めの言葉に、涙する蝶子だった。そんなとき、弟の信一(久野雅弘)から、母危篤の連絡が入る。