北海道のほぼ中央に位置し、十勝岳連峰の山麓に広がる街「美瑛町」。自然と人の営みによって育まれた美しく雄大な丘陵地帯が広がるこの地に、一念発起し、東京から新規就農を目指してやってきた「薫とリコ」。丘に連なる美しい畑の景観は、観光資源であると共に「人が食べるものを作っている」大事なエリアであり二人の仕事場でもある。そんなある日、二人の新規就農研修先である「田之倉農園」の畑に無断で立ち入る侵入者が……。
「リコ」は、ユーチューバーとしての側面も持ち、「農業系ユーチューバー」として有名になることを目指していた。しかし、新規就農女子として発信する彼女の動画やメッセージは悉く「にわか農業女子」として揶揄され、誹謗中傷に晒される。慣れない農業で体力を奪われた上に、ユーチューバーとしての活動が上手くいかず「農業」から心が離れ始めた「リコ」を咎める「薫」との二人に不穏な空気が流れ始める。
新規就農者として薫とリコが美瑛町にやってきてまもなく1年が過ぎようとしていた。1年を過ごし「本当の農業と美瑛町をもっと知ってもらえれば観光被害も是正していけるのでは？」と願う薫。そんな薫の想いを受け、ユーチューバーでもあるリコは日々策を練る。そんな二人が導き出した答えは、雪原と化した冬の畑の下には「人間が食べる作物が春を待って埋まっている…」。そして、「美瑛の四季は、自然と人間が一緒に作り出した風景である…」ということを丘の農地を活かしたプロジェクションマッピングやライトアップで表現し、農業と観光にまたがるルールの大切さをLIVE配信で説くということ。果たして、二人の思いはどこまで届くのであろうか…？