純はビザハウスの店先でタマコが出てくるのを待っていた。タマコは、純を見つけるが、そのまま配達用のバイクに走った。純は、近づいて、タマコにちゃんと診てもらった方がいいんじゃないかと言うと、タマコは一緒に産婦人科に行ってくれるかと聞いてきた。純は、返事できなかった。 純は、相談する人もおらず、どうしていいのかわからなかった。どうしても気になって、タマコに電話をした。純は、何か面白いビデオがないかたずねると、「陽のあたる場所」という映画を勧めてくれた。純がそのビデオを借りようとすると、店の主人がニヤニヤしながら応対した。純は、ここ2・3日食欲もなくビールしか口に入っていかなかった。ところが、その映画は美しい婚約者ができた青年が、妊娠させてしまった昔のガールフレンドに結婚を迫られ、処置に困ってそのガールフレンドを殺してしまうという筋書きで、青年はその後死刑になってしまうというものだった。その晩、いやな夢を見た。それは、さっき見た映画とそっくりで、自分が誤ってタマコを殺してしまう夢だった。 翌日、ガソリンスタンドに、小学校の同級生の中井が偶然給油に現れた。中井に話かけられているとき、純はタマコを見つけ、まだこないのかとたずねてみるが、心配しないでと応えただけだった。夜、小学校時代の同級生たちと集まって話をしているとき、妊娠検査薬の話を耳にした。翌日、薬局でそれを買って、例のラブホテルでタマコとおち合った。検査薬は残念な色になった。アパートに帰ると、札幌のれいちゃんから手紙が届いていた。その手紙を読み終え、純は頭を抱えた。 純が、車のフロントガラスを拭いていると、突然電話だと言って呼ばれた。それは、タマコの叔父からのものだった。純は、すぐにメモした病院へ急いだ。病室の戸を開けるとタマコの叔父と叔母が立っていた。純は、自分の名前を言うと、叔父が近づいてきて病室の外へ出るように顔で促した。廊下へ出るといきなりその男は純を殴りつけた。