ついに朝田龍太郎(坂口憲二)たちのチームによる奈良橋文代(江波杏子)のバチスタ手術が始まった。第一助手の加藤晶(稲森いずみ)、第二助手の伊集院登(小池徹平)、看護師の里原ミキ(水川あさみ)、内科医の藤吉圭介(佐々木蔵之介)も手術室に入った。そして、鬼頭笙子教授(夏木マリ)や野口賢雄教授(岸部一徳)をはじめ、多くの医師たちが見学室やモニターで手術の様子を見つめていた。 人工心肺の装着が完了し、加藤は臨床工学士に心停止液の注入を開始するよう指示する。だが、朝田は心臓を止めないままで手術を進めると宣言。加藤も見学していた医師たちも驚く。動いたままでの心臓の手術は細胞組織が劣化せず、手術後も患者の体に負担がかからない。だが、停止した心臓を手術する場合の100倍は難しく、患者が死ぬ可能性も高かった。そんなことになれば、加藤の論文どころか、野口まで責任を取らされることになる。なぜそんな危険な冒険をするのかと、見学室は騒然となるが、加藤も伊集院もミキも、朝田を信じてついていくしかないと覚悟を決めていた。 スタッフワークの良さで、手術は予想以上の早さで進行。いよいよ、バチスタ手術の本番である変性部位(悪い部分)の切除に入る。バチスタ手術において肝心なことは、どのようにしてその部位を見つけるかだったが、それを正確に特定する方法は未だ確立されていない。加藤はその方法を論文で書こうとしているのだ。だがここで、患者の心臓に手を当てたまま、朝田の動きが止まった。見学室の医師たちは変性部位が分からないのか、と驚く。そのとき、鬼頭はあることに