北澤尚(戸田恵梨香)34歳。母・薫(草刈民代)が院長を務めるレディースクリニックの医師として、忙しく働きつつも、充実した日々を送っていた。雷が落ちたような恋をしたことはないけれど、理想の条件にぴったり当てはまる年上の医師・井原侑市(松岡昌宏)とお見合いをして、婚約。プライベートも順風満帆だ。しかし…。結婚式まであと1カ月と迫ったある日。尚は元小説家で引越しのアルバイトをする無愛想な男・間宮真司(ムロツヨシ)と運命的な出会いをする。婚約中の医師と、引越し屋のアルバイト。一見、不釣合いな二人に見えた。だが、真司こそが尚の追い求めていた人だった…初めて出会った本気の恋に真っ直ぐ突き進んでいく尚と、その迫力に圧倒されながらも次第に惹かれていく真司。だが、二人の愛を阻むように、尚の身に"ある異変”が起こっていた…。
真司(ムロツヨシ)のアパートへ急ぐ途中、交通事故に遭ってしまった尚(戸田恵梨香)。病院へ運ばれ検査するも、幸い大きなケガはなかった。だが、偶然、尚のMRIを目にした侑市(松岡昌宏)は、尚の脳に軽度認知障害の兆候を感じ取っていた・・・。交通事故に遭ったことなど気にしていない様子の尚が、真司と一緒にアパートで過ごしていると、侑市から連絡が入り会う約束をする。結婚を自分勝手に破談にしてしまったことに負い目を感じていた尚だったが、侑市がまさか自分の脳に起こっている異変に気付いたとは思ってもいなかった。翌日、婚約解消の話を進めるつもりで侑市に会った尚は、軽度認知障害の疑いがあると聞き、簡単な“物忘れ検査”を受けることに。一方、尚の母・薫(草刈民代)は一人で真司のアパートを訪ねていた。そして「娘と別れてほしい」と真司に手切れ金の入った封筒を手渡し…。
自分がやがて若年性アルツハイマーになってしまうことを真司(ムロツヨシ)に告白した尚(戸田恵梨香)。尚を病気ごと受け入れる覚悟をした真司だったが、その先に待ち受ける困難をまだ予想できないでいた。真司と一緒に暮らすことになった尚は、自分の貯金で古くて狭い真司のアパートから、新しいマンションへ引っ越したいと言い出す。お金には困ったことのない尚の価値観に戸惑いを隠せない真司だったが、ようやく二人の関係を許すことにした薫(草刈民代)にも引っ越しを勧められ、尚の実家近くで新居を探すことに。そんな中、尚の主治医が元婚約者の侑市(松岡昌宏)であることを知った真司は、一人で侑市のもとを訪ねるが…。一方尚は、病気になった以上、これまでのようには診察を続けられないと薫に申し出る。侑市と話した真司は、思いつめた様子で預金通帳の少ない残高を見つめ…。
侑市(松岡昌宏)へのコンプレックスから、少しでもお金を稼ごうと無謀なアルバイトで倒れてしまった真司(ムロツヨシ)。 病院に駆け付けた尚(戸田恵梨香)に正直に打ち明け、愛を確認し合った。 だが…、尚は真司に抱きしめられながらも、誤って侑市の名前を呼んでしまう。 名前を間違ったことに気づいていない尚。“侑市”と呼ばれた真司はショックを受けながらも、尚の病気のことを思い、気づかないふりをするが…。 一方尚は、日常生活での失敗が増え病気の進行を自覚する中で、真司の名前を呼び間違えたかもしれないと不安になる。 翌日、退院した真司と尚のもとに、引っ越し屋の先輩・木村(富澤たけし)が、職場に置いたままだった真司の荷物を持ってやってくる。 真司が小説家だったことを知らない木村に、尚は嬉しそうに真司の著作「砂にまみれたアンジェリカ」を手渡すのだった。 そんな中、レディースクリニックで尚が診察していた患者が、尚の病気に気づいて…。
尚(戸田恵梨香)に、「別れよう」と伝えた真司(ムロツヨシ)。それは、尚の病気のことを考えて出した、苦渋の決断だった。 娘の様子を見て心配した薫(草刈民代)は、事情を聞こうと真司のもとを訪れるが・・・。 尚と顔を合わせたくない真司は、木村(富澤たけし)の計らいでバイト先の倉庫に泊まることに。 尚は、どうにかして真司と話そうと、バイト先を訪れるが、真司に気を使った木村が追い返してしまうのだった。 メールを送っても真司が待ち合わせに現れることはなく、尚はいつもの居酒屋で一人ぼっち。 そして、真司から尚宛ての宅配便が届いたある日、真司のアパートからは全ての荷物が撤去されていた。 それから、9か月後・・・。
素直な気持ちを伝え合い、ついに結婚した尚(戸田恵梨香)と真司(ムロツヨシ)。 周囲に祝福され、幸せな結婚式を挙げたのもつかの間、二人の行く手に新たな脅威が迫っていた。 新居に引越し、新生活をはじめた尚と真司。 ある日二人は、病院で松尾公平(小池徹平)と出会う。 若年性アルツハイマー病患者である公平は、病気が発覚した途端妻に去られ、生きがいである仕事も失いそうになっていた。 一見、子供好きで笑顔が爽やかな好青年の公平だったが、その裏に深い闇を隠し持っていた。 一方、真司は思い切って尚に「こどもが欲しい」と告げる。 尚は「無理だと思う」と伝えるが、迷いもあって・・・。 そんな中、尚は侑市(松岡昌宏)の勧めもあり、自身の病気について大学で発表することになる。
真司(ムロツヨシ)が急ぎで病室に駆けつけると、意識が朦朧とした尚(戸田恵梨香)と公平(小池徹平)がキスをしていた。目の前で起こった出来事に困惑する真司だったが、尚は真司を認識していない様子で…。 失神の原因はわからないと言う侑市(松岡昌宏)に食ってかかる真司を、薫(草刈民代)がなだめるのだった。 大事なときに一緒にいられなかったと悔やむ真司。 翌朝、尚は、公平とのキスも、真司を認識できなかったこともすっかり忘れてしまっていた。 真司は公平を問い詰め、警告するが…。 そんな中、真司は小説の続編を書く決心をする。 一方、尚は、症状が改善されたらこどもを産みたいと侑市に相談するが、帰宅するとそんな話をしたことも忘れてしまっていて…。
だんだんと病状が進行していく尚(戸田恵梨香)だったが、悩み抜いて真司(ムロツヨシ)との子どもを産むことを決意した。 産婦人科医である尚は、子どもを身ごもるための戦略を実行し、幸せな日々。 一方、侑市(松岡昌宏)は、診察に訪れた公平(小池徹平)に尚のスピーチのときの映像を見せ、ほかの患者に危害を加えるならばほかの医師を紹介すると注意するが、公平は了承せず…。 そんな中、尚は薫(草刈民代)に子どもを産むことにしたと報告に行く。 子どもには断固反対していたはずの薫だったが、すんなりと受け入れた様子を見て、尚と柚香(黒川智花)は“好きな人でもできたのでは!?”と勘ぐる。 その帰り道、スーパーで買い物をしていた尚の前に公平が現れて、何も知らない尚は…。 本の売れ行きが好調な真司は取材が殺到し、担当編集者の水野(木南晴夏)がかいがいしく世話を焼いていた。 尚が自宅に帰ると、玄関にハイヒールがあり、部屋から出てきた水野と鉢合わせしてしまう…。