大正9年熊本県球磨郡大村(現・人吉市)に、8人兄弟の長男として生まれた川上哲治。貧しいながらも母のためアルバイトで家業を支えつつ野球に打ち込んでいた。 奨学金を受けながら通った、野球の名門・熊本工業学校(現・熊本工業高校)では、投手として2度の甲子園出場を果たしたが、いずれも準優勝の苦杯を味わった。 巨人軍に入団した川上は、打撃の神様と称され「球が止まって見える」という名言も残した。「名選手、必ずしも名監督にあらず」という通説を覆し、監督としても球史に残る日本シリーズ9連覇の偉業を達成。 今では当たり前のリリーフ投手の起用や、緻密なサインプレーを導入し、徹底した管理野球で「勝つ野球」の在り方を示した知将である。 その裏で、愛する家族に襲いかかった知られざる最大の危機を乗り越え、指揮を執っていた川上哲治。 番組では王貞治氏、そして長嶋茂雄氏にインタビューを敢行。 「ON」は川上哲治という人間をどうとらえていたのか? さらに柴田勲氏、黒江透修氏らV9レギュラーメンバー、さらに数々の名勝負を繰り広げた星野仙一氏、野村克也氏などライバルたちの証言から浮き彫りにし、9連覇を成し遂げた川上ならではの人心掌握術に迫る。