今から45年前に復興工事が始まった薬師寺。金堂、西塔は無事に復興。復興発案から約30年が間近に迫り、一番大きな建造物となる大講堂の復興に取り掛かろうとしていた。現場で働く者の中には、「薬師寺の現場だけでサラリーマン生活を終える」というほどの期間を過ごした者もいれば、全国から結集した宮大工の中には、「大工人生の半分以上」を薬師寺の復興現場にささげたという人もいた。それは、1300年前に建てられた歴史的建造物に隠された"日本古来の匠(たくみ)の技"の奥深さを追求する、職人たちの夢への挑戦でもあった。 「1300年もった建物だから、今度の工事では最低1000年はもつ建物を作る」という、職人たちの壮大なるロマン。建物の基礎研究から始まり、樹齢1000年を超える木を使っての支柱作り、ひび割れしない土壁、そして装飾品や瓦作りなど、その工事は難航を極めた。中には、建設当時の道具の復元が必要な場面も。それは、大講堂だけで約50億円ともいわれる大工事となった。宮大工を中心とした職人たちの信念と技が、日本が誇る世界遺産に隠されていた伝統技法を読み解いていく。82歳のベテラン左官職人が復元した"古来の土壁"。その完成までには、なんと3年以上の工程が必要だった。 番組では、薬師寺・大講堂の復興工事を追いかけながら、伝統技法に挑戦する職人たちの生きざまに密着。1300年前の奈良時代にタイムスリップする職人たちとともに、薬師寺に埋め込まれた建築技法の謎に迫る。