谷元雫(片平なぎさ)は、佐藤酒造社長、佐藤一成(清水綋治)の車を運転し、自身が経営する谷元酒造の酒蔵に向かっていた。谷元酒造は、佐藤酒造の販路拡大、値下げ攻勢で経営が悪化。損失の肩代わり、実質的な吸収合併を佐藤から持ちかけられた雫は、従業員などには秘密裏に酒蔵の視察を提案したのだ。しかし、佐藤は谷元酒造の銘酒『月の雫』の名前が欲しいだけ。伝統の味を守るため手作りの少量生産しか出来ない『月の雫』を、風味などおかまいなしに機械的な大量生産を目論む。
さらに、佐藤は会社を失う独身の雫に色目まで使っていた。
まだ、闇の帳が開かない早朝の酒蔵に2人は到着。雫は従業員に気づかれるからと蔵の電灯は点さずに佐藤を案内する。その間も、佐藤は酒への愛情のかけらも感じさせない経営論を展開。そんな佐藤が水の入ったタンクに近づいた時、雫が体当たり。雫は佐藤を櫂棒で水中に沈め、殺害した。
夜明けの谷元酒造の酒蔵に警察官が集う。福家警部補(檀れい)も姿を見せた。鑑識から現状を聞いた福家が佐藤の遺体発見者に会うため倉庫に向かうと、石松和夫警部(稲垣吾郎)と田所勉警部補(中本賢)が現れた。いつもなら福家を厄介者扱いする石松は、この日に限って福家の捜査への参加を認める。遺体発見者の谷元酒造従業員が正体を無くすほど酔っていたからだ。福家も手をこまねいていると、雫が来た。福家は、まず雫から死体発見時の状況を尋ねることに…。