まだ戦争の傷跡が残る、戦後間もない頃の東京。新制高校の二年生になった日下部栞奈はある日、友人たちから『図書室の幽霊』の噂を耳にする。旧校舎の図書室に現れる幽霊を見た者は、その呪いにより一ヶ月以内に死に至ってしまうという。その幽霊を目撃してまったと怯える栞奈の友人、幸子。死にたくないと嘆く彼女を放っておけない栞奈は、幽霊の正体を探るため夜の旧校舎へと足を踏み入れることを決意する。そんな矢先、栞奈のクラスに新任の講師が赴任してくる。愛想のかけらもない仏頂面な国語講師……それが中禅寺秋彦だった。