黒瀬令児(荒木飛羽)は、17歳にして人生に絶望していた。引きこもりの兄と認知症の祖母、2人の世話で疲れ切った母・夕子(片岡礼子)との4人暮らし。不安定な家庭環境で大学進学もできるわけがなく、閉鎖的な田舎町で、幼馴染・秋山朔子(本田望結)や峰岸玄(堀夏喜)と、同じような毎日を過ごしていく…。「家族」「幼馴染」「将来」その全てが、令児をこの町に縛り付けていた。 そんな日々に嫌気がさしたある日、令児は運命の「彼女」に会う。それは、この町にいるはずのない憧れのアイドル・青江ナギ(北野日奈子)だった。 自分をこの町から解放してくれると直感した令児だったが、ナギが差し出した救いの手は、“心中”だった―。そして、ナギに誘われるがまま、令児が向かった先は…。 絶望の深淵アビスに漂う少年の、前代未聞のスーサイドラブストーリーがここに開幕。
担任・柴沢由里 (松井玲奈) からの突然のキスに、頭が真っ白になる黒瀬令児 (荒木飛羽)。そして、自分がしてしまった行動に動揺が隠せない由里は、何かが吹っ切れたように想いを吐露し始め、まさかの行動に出る。一方、チャコ (本田望結) は、大好きな小説『春の棺』の作者・似非森浩作 (和田聰宏) と偶然会い、ファンだということを伝える。「いつかと言わず今日から俺の担当になってよ」甘い言葉を掛けられ、人生最高に高揚するチャコ。その頃、峰岸玄 (堀夏喜) は青江ナギ (北野日奈子) と会っていた。そして、令児がナギと会っていた本当の理由を知ってしまい…?! 閉ざされた町で、複雑に絡み合う人間たちの“真っ暗な”心の内が、徐々に明らかに。少年は、本心 (アビス) へ―…。
青江ナギ(北野日奈子)と、ついに対面することになった秋山朔子(本田望結)は、憧れのアイドルに会えた喜びと、大好きな幼馴染・黒瀬令児(荒木飛羽)を心中に誘った張本人という事実に苛まれ、複雑な心境だった。そして、単刀直入に朔子はナギにあることを切り出す。一方、令児が町から出ようとしていると知った峰岸玄(堀夏喜)は、令児を連れ出し、令児の母・夕子(片岡礼子)の“ある秘密”を暴露し…?!衝撃の事実を知ってしまった令児は、担任の柴沢由里(松井玲奈)にお金を貸してほしいと懇願。だが、これが思わぬ方向に動いてしまう。幼馴染、教師、そして母親…令児への固執は、さらに大きく深くなっていき―。少年は、混迷へ―…。