カナダのノヴァスコシア州の田舎にあるボリーングブロークの町に、 6才になる小さな赤毛の少女アン・シャーリーが暮らしていました。 ある春の日のこと、 一人で森の中にやって来たアンは、 美しい花を咲かせる桜や可愛らしいリスに夢中になり、 言い付かった手伝いの事を忘れてしまいます。 慌てて家に戻るアンを待っていたのは、 トーマス家の騒がしい子どもたちと、 ガミガミと怒り、 家の用事でてんてこ舞いになっているジョアンナおばさんでした。 アンは生まれたばかりの時に両親を病で亡くして孤児になってしまいましたが、 シャーリー家でお手伝いをしていたジョアンナがまだ赤ちゃんのアンを引き取ってくれたのです。 トーマス家にはジョアンナの他に、 ご主人のバート、 何かと意地悪な2人の男の子と赤ん坊、 そしてアンを可愛がってくれる優しいお姉さんのエリーザが暮らしていました。 一家はバートがいつもお酒を飲んで働かずに皆を困らせるため、 収入が少なく貧しい生活を強いられていました。 小さなアンもまた、 ジョアンナの手伝いに明け暮れる働き詰めの毎日でしたが、 どんな時でも楽しくて独創的な想像をすることで、 辛い日々を明るく過ごしていたのです。 ある日の夜、 昔両親が家で猫を飼っていたことをエリーザから聞いていたアンは、 自分にも可愛い友達がやって来ることを神様にお祈りします。 神様はさえない赤毛の子の願いなんか聞いてくれないだろうと思いながら。
たくさんの洗濯物を干し終わって気持ち良さげに空を仰いでいるアン。 するとまだ日が高い中、 エリーザが仕事から帰ってきました。 アンは洗濯物を乾かしてくれるそよ風にジェーンと言う名前を付けていることをエリーザに教えてあげました。 でも新しい子猫に付ける名前がどうしても浮かびません。 アンのために絵本を借りてきたエリーザは、 アンを誘って2人で一緒に森へベリーの実を摘みに行くことにします。 木陰に座ってエリーザが読んでくれる勇者と金髪の乙女の物語を聞くうちに、 アンはとうとう子猫の名前を思いつきました。 子猫の名付け親になったアンは、 エリーザから子どもたちの名前がどうして付いたかを聞かされるうちに、 自分の名前は誰が付けたのかをとても知りたくなりました。