長野の小さな駅の駅員だった柴田理森(豊川悦司)は、町村かほり(夏川結衣)という女性を愛したことから人生が大きく変わってしまった。かほりは町の有力者の息子、綿貫広務(佐野史郎)の妻だった。かほりの娘・誌織(鈴木杏)は、義理の父よりも理森になついていた。母娘が引き離されると知って2人を連れて町を飛び出した理森。安住の地を求める3人の逃避行の旅が北へと続いた。しかし夫がとうとう追いつき、2人を引き離そうとしたとき、かほりは自らの命を犠牲にして広務と理森の乱闘を静めた。理森は責任を負って刑務所に入った。
6年が経ち、理森は長野に帰る。そこで15歳になった綿貫誌織(山田麻也子)と再会する。ねじれてしまった誌織の人生を、理森は救ってやりたいと思った。そした南へと旅立った2人だが、再び別れが訪れた。
そしてさらに4年後。10年間幸せを捜し求めた彼らの旅は、2人が初めて出会った場所で終わる。
人にとって幸せとは何か、いくつもの試練を乗り越えた主人公達が、南の最果ての地で送る生活に、答えが見えるはず。平凡な生活から一転して、人生の苦酸をなめた彼らにもたらされるささやかな幸福は、観る者の涙を誘うに違いない。