広大な北アルプスが管轄の安曇野北警察署は、山での事故に備え山岳遭難救助隊も常駐する日本でも珍しい警察署。ある日、主任の道原伝吉(松平健)と降旗節子(雛形あきこ)は、結婚詐欺犯の廣田浅子(小沢真珠)を電車で護送していた。と、その時、人質らしき菅井栄子(小野真弓)に銃口を突きつけた男・根岸左知男(石垣佑磨)が背後に現れる。しかも浅子にはめられた手錠に気づいた根岸は、手錠をはずし自分のほうへ来るようにと指示する。道原の制止も聞かず、到着した須坂駅で下車。駅のロータリーに止まっていた、老舗旅館『千華苑』の送迎ワゴンに乗り込み、女将の重村由美子(あめくみちこ)と大番頭の関本武彦(大浦龍宇一)を乗せたまま逃走。しかもこのまま逃げたい浅子は、「常念岳に大金がある」と言い始め…。 緊急配備が敷かれ、『千華苑』にも緊迫した空気が流れていた。心配そうにニュースを見つめる娘の沙耶(遊馬萌弥)。友達で道原の娘・比呂子(谷内里早)と道原の妻・康代(斉藤慶子)も付き添っている。そこへ旅館に由美子から電話が入る。犯人の要求は、登山用の装備品一式を用意すること、そして午後5時に常念岳の万年岩に警察の誰かが一人で来い、というもの。その知らせを聞いた道原は、「行かせて欲しい」と名乗り出る。捜査一課の古澤武則(賀集利樹)は反対するが、管理官の鷲崎孝文(宅麻伸)は、山に詳しい道原にその役を託す。やがて常念岳鳥川西トンネル付近でワゴン車が発見される。その頃、車を降りた根岸らは登山道を歩いていた。4人の人質は苦痛と疲労で顔を歪ませていた…。 約束の場所へ向かった道原は、指示通り装備品を渡しながら、人質の解放を求める交渉を始める。ところが、勝手に後方から追ってきていた古澤を見つけた根岸は激昂し、人質を連れて森の中へ消えてしまう。なぜ根岸は山に必要なもの以外何も要求してこないのか?動きづらいのになぜ人質を4人も取ったのか?そして常念岳には一体なにが?根岸の目的がつかめない道原だったが、実は単なる拉致誘拐事件ではなかった――。