鉄道警察隊東京駅分駐所の巡査部長・清村公三郎(小林稔侍)は、ある日の休日、いすみ鉄道で千葉県・大多喜町に向かっていた。 そこで美しい運転士・坂上莉緒(藤谷美紀)に目を奪われる。いすみ鉄道には、一般の社会人でも運転士の訓練を受けられる自社養成乗務員制度があり、莉緒はその訓練生。かつて運転士を夢見た清村の興味津々な様子を見た莉緒は、清村を食事に誘う。莉緒の恋人・井上治(河相我聞)も加わった3人での夕食を終え、宿に向かう清村の耳に男の悲鳴が飛び込んでくる。駆けつけると日本刀が深々と刺さった酒造会社社長・坂上幸一(おかやまはじめ)の遺体を発見。鬼の姿も目撃し追いかけるが、姿は林の闇に紛れてしまう。 翌朝、再び現場に向かった清村は、大多喜署の刑事・寺島義彦(林泰文)から、この地に住んでいた伝説の刀匠・村正の話を聞く。村正の刀は徳川家と数奇な因縁があり“妖刀”と呼ばれるようになった。しかも村正は死後も鬼となって刀を打ったという。その鬼を鎮めるべく作られた祠を、幸一は酒蔵を作るため1年前に壊した。そして幸一に刺さっていた刀が妖刀…。まさか村正が蘇ったのではと考える寺島の横で、伝説を利用した何者かの犯行と推理する清村。その冷静ぶりに、寺島から協力して欲しいと懇願された清村は休暇を延長する。早速、幸一の妻・佳恵(秋本奈緒美)、弟・健二(羽場裕一)、顧問弁護士・田中紀明(相島一之)に話を聞くが、皆心当たりがないという。 一方、幸一の妹が莉緒であることがわかり清村は動揺する。 ある日、清村たちは観光センターの今泉恵子(寺田千穂)に呼び止められ新たな情報を得る。1カ月前、幸一と健二が金絡みで揉めているのを目撃したというのだ。東京に戻った清村は、寺島と共に健二のオフィスへ。経営が厳しく借金を頼み断られたのは事実だが、事件当夜は仕事をしていたという。しかし隣の部屋に日本刀が…。更に清村は、東京にいた佳恵にも会いに行き、彼女の腕に傷を見つける。幸一の暴力によるものだった。また、田中は、莉緒が幸一と揉めていたことを明かす。ひとり母親が違う莉緒は、亡くなった母を父と同じ墓に入れて欲しいとお願いするも受け入れてもらえず、屈辱的な暴言も吐いた幸一らを恨んでいた。 金で揉めていた健二、DVを受けていた佳恵、母親のことでいざこざがあった莉緒…幸一に恨みを持つ3人が容疑者として浮上するが、いずれも決め手に欠け