横浜地裁判事の神谷桜子(財前直見)が担当する裁判員裁判を前に、公判前整理手続きが開かれる。検事・森隆史(羽場裕一)の説明によると、被告人は徳井正次(石橋蓮司)。バス会社定年後、妻と二人年金暮らしをしていた。一方被害者の野末隆之(沼崎悠)は不動産開発会社の社長。神社で徳井が胸にナイフを突き立てているのを大学生の川口守(小川ゲン)に目撃され、一度は逃亡したものの、自ら警察に出頭してきて逮捕されたという。殺害の動機として、2年前に娘の香苗(槌谷絵図芽)が何者かに殺害されたことが挙げられる。その時、容疑者として浮上したのが当時交際していた隆之の息子・直人(窪塚俊介)。妊娠した香苗が邪魔になり犯行に及んだと思われたが、アリバイが成立し、裁判員裁判で無罪となっていた。判決を不服とする徳井は直人に会おうとするが拒否されると、次第に矛先は父の隆之に向けられた。徳井はいつものように隆之を待ち伏せすると殺害したというのだ。思い込みによる殺人なのか? 原因となった2年前の裁判員裁判…そこになにかがありそうな気がする桜子だった。 2か月後、中津川毅(深沢敦)を始めとする裁判員候補が約50人集められる。中には質問票を見て一瞬躊躇する山本みずえ(清水由紀)の姿も…。質問手続と呼ばれる面接などを経て選ばれた裁判員たちは、その日の午後、早速第1回公判へ。徳井は森検事の弁論に対し全て認める。裁判後の評議で、裁判員の湯川康夫(井田國彦)は被告人が犯行を認めているのに議論は時間のムダだと言い出すが、桜子は弁護側が殺意を認めていないことをあげ、人の運命を決めるのに時間のムダはないはずだと一喝。裁判員たちも意見を出し始める。その中で青木健一(佐野和真)が2年前の事件の判決が本当に正しかったのか、疑問を投げかける。桜子も気になり、その事件の裁判長、船堀雄一(浅見小四郎)に当時の話を聞きに行ったところ、有罪かと思われていた直人だが突然証人が現れアリバイが成立、結局無罪となったことを知る。嬉しそうな表情を見せる直人とは裏腹に、徳井は憎しみの顔で直人や裁判員を睨みつけていたという。 その日の夜、徳井の事件の捜査資料に目を通した桜子は、川口が当初の証言を一部訂正していたことに気づく。第二回公判で直接川口にそのことを確認すると、勘違いだったので訂正したというが…。 そんな時、「現場にはもう1人いた」と、徳井が新たな証言