弁護士の藪原勇之進(長塚京三)と後輩弁護士・朝吹里矢子(黒谷友香)は、社員二千人を抱えるトップ企業の代表取締役・馬越憲造(山路和弘)が殺害された事件を担当。容疑者で憲造の内縁の妻、岩井智子(高岡早紀)に面会すると、智子は起訴内容を否認。誰かが庭へ走って逃げて行ったと証言していた。世間では保険金殺人ではないかとの声が高まっていたが、智子が犯人と裏付ける検察の起訴理由も不明瞭なものであるため、里矢子は智子の起訴は検察の横暴だと憤慨する。 一方、法廷では事件当夜に現場に駆け付けた憲造の弟・信也(高橋和也)も庭へ逃げた人物を見たのか、その発言に注目が集まっていた。しかし、信也は藪原からの尋問の最中に「証人自身、または近親者が刑事訴追を受けるおそれ」があるとして、突然証言を拒否してしまう。そんな信也に検察の土谷佐介(西村雅彦)は怒り心頭。里矢子も信也は犯人をかばっているに違いないと考える。しかし藪原は、逃げた人間がいたとしても、その人間が犯人とは限らないのだと里矢子を諭し、事件をはじめから洗い直すことにする。 殺害された憲造は一代で会社をトップ企業にまで大きくした人物だが、そのやり方はワンマンで評判が悪く、社内外に恨みを持つ人間は多かったようだ。妻の亡きあと、智子を豪邸に住まわせていたが、一人息子の秋行(平田裕一郎)は2年前から行方不明に。弟の信也は結婚して家を出ていたが、離婚を機に再び憲造、智子と同居していた。 藪原と里矢子は憲造の後を継いで代表取締に就任した信也に会いに行き、もう一度証言してほしいと頼むがいい返事はもらえない。智子に事件当日のことを聞き直すと、逃げた男が“若い男”だったと初めて口にするが、それ以上のことは話したがらない。藪原は“若い男”が秋行ではないかと考え、行方を探すことにする。